【インディジャパン】佐藤琢磨インタビュー 前編 …「ペース落とさず燃費よく」が好調の秘訣

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佐藤琢磨選手(KVレーシング・テクノロジー)
  • 佐藤琢磨選手(KVレーシング・テクノロジー)
  • 佐藤琢磨選手(8月28日・第13戦インフィニオン・レースウェイ)
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  • 佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨選手(8月28日・第13戦インフィニオン・レースウェイ)
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 栃木県・ツインリンクもてぎで開催される「インディジャパン ザ ファイナル」(9月18日決勝)。母国凱旋レースを目前に控えた佐藤琢磨選手が、インディ初表彰台獲得、さらには初優勝を目指す意気込みについて語る。

米国IZODインディカー・シリーズ参戦2年目の今季は、2度のポールポジション獲得(日本人選手初)を果たすなど大活躍。チームを移籍したわけでもないのに、これだけの躍進を果たせた理由とは……?

「当然、何かひとつが大きく動いた、というわけではないですよね。細かいところの進化の相乗効果によって、だと思います。たとえば、チームは冬の間からマシンのスピードを向上させるための試行錯誤を繰り返してきたし、ピット作業を速めるための努力などもしている。そういう細かい要素がいくつも合わさって、僕らのパッケージのパフォーマンスが上がってきているんだと思います」

若いチームと言っていいKVレーシング・テクノロジー・ロータス。その成長には“頼れる新チームメイト”、2004年のシリーズチャンピオンであるトニー・カナーン(愛称はTK)の加入がもたらした効果も大きかった。

「僕はインディでは他のチームを知らないわけです。だから、自分のマシンを基準にした善し悪しは判断できますけど、軸が、僕自身のマシン(とチーム)しかなかったんですね。そこにチャンピオン経験もあって、他チームのこともよく知っているTKが来てくれた。喩えるなら、このテーブルの上だけの情報で話していたことを、部屋全体くらいの情報量で話ができるようになった、そういうイメージなんです。(ドライビングの面では)お互いに刺激にもなっていますしね」

今季は琢磨選手のみならず、カナーン、E.J.ヴィソと、KV勢3選手が揃って上位に進出してくるシーンも何度か見受けられた。

「確実にチーム力は上がっています。テストでも、3台でいろいろと振り分けてデータを取り合っていて、お互いにそれを信頼できるから、効率も上がる。今年はそういうかたちが実現できているんですよ。もともとポテンシャルは高いチームなんですが、去年はいきなり3台エントリーに体制を拡大したので、正直、3台走らせているだけで精一杯なところがありました。そのあたりの反省が今シーズンに活きていますね」

米国最高峰であるインディカー・シリーズ。コンペティションのレベルは、やはり高い。

「昨年以上にタフな戦いになっていると思います。なにしろ10000分の1秒までタイム計測するシリーズ。そのなかで差をつくるのは、とっても難しい。だから、小さなことの積み重ねによる相乗効果が大切で、それを連続させていくしかないんですよ」

マシンとの親和性が進化(深化)したことで、ドライビングや戦略の幅も広がっている。

「今年は、ペースを落とさずに燃料をセーブして走ることができている。そうすると(前走車よりも)ピットのタイミングを伸ばせますよね。相手が先に冷えた状態のタイヤで走ることになるので、そこで順位を上げられるんです」

シビアな戦いのなかで大躍進を果たしている今季。その総仕上げとなる表彰台ゲットを、多くの母国ファンが見守るもてぎで達成できるか。期待が高まる。

今季はオーバルで1度、ロードコース(常設サーキットや市街地コース等)でも1度、計2度のポールポジションを獲得している佐藤琢磨選手。初のロードコース開催となる「インディジャパン ザ ファイナル」だが、マシンの相性的にはどうなのだろうか?

「KVのマシンは、バンピーな市街地コースよりも、ハイグリップでスムーズな路面の常設コースを得意にしている面がある。それにみんながデータのない初開催コースでの“瞬発力”も、ある方だと思いますよ」

どうやらチームの相性は良さそう。ただ、琢磨選手自身は他の選手同様にもてぎロードコースでのレース経験はなく、母国戦ではあるが具体的な“地元の利”まではない状況だ。しかしそこに、もてぎロードコースでかなりのレベルのレース経験を持つ“助っ人”が登場した。サム・シュミット・モータースポーツからのスポット参戦が決まった武藤英紀選手。2008〜10年はインディにフル参戦していた武藤選手の不在(今季はSUPER GT参戦中)を、「今年はひとりで寂しかったですよ」とも感じていた琢磨選手にとっては、様々な意味で朗報と言えよう。

「英紀の参戦は心から嬉しいです。去年は、インディでは先輩になる彼がいてくれたことで、心強く思える面も多々ありましたからね。それに、僕はもてぎのロードコースに関してはデモ走行したことはありますが、レース経験はない。でも英紀は過去にけっこうレースをしていて、先月のフォーミュラ・ニッポンにも、たまたま(笑)スポット参戦していたんでしょう。僕にとっては強力な助っ人だと思います。もちろんチームも違うし、コース上ではライバルのひとりですけど、協力できる部分についてはいいかたちで協力し合って、お互いに上に行きたいですね。彼とふたりで、最後のインディジャパンを盛り上げたい」

インディジャパンは今年が最後の開催になる。

「ぜひ、たくさんの人に、もてぎに足を運んでいただきたいです。最後のインディジャパン、そしてロードコースでは初めての開催。そのあたりは、やっぱり注目ポイントだと思いますしね。僕たちのパッケージも強力になってきていますから、トップ戦線で戦うところをお見せできれば、と思います」

《遠藤俊幸》

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