ポルシェ初のハイブリッド車として登場した、『911GT3 Rハイブリッド』と『カイエンSハイブリッド』。ポルシェは9日、2台のハイブリッドを紹介したPRビデオを、動画共有サイトで公開した。
911GT3Rハイブリッドは、レース専用車の『911GT3 R』をハイブリッド化したモデル。リアに置かれる4.0リットル水平対向6気筒エンジン(480ps)はそのままに、フロントアクスルに2個のモーターを追加した。それぞれが81.5ps、合計163psのエクストラパワーを生み出し、エンジンが後輪、モーターが前輪を駆動する4WDとなる。
市販のハイブリッド車と異なるのは、バッテリー(2次電池)を搭載しない点だ。2次電池の代わりに、電気式の「フライホイールジェネレーター」を助手席部分にレイアウト。これは減速時にモーターが回生ブレーキの役目を果たし、フライホイールジェネレーターを最大4万rpmまで回して、電力を蓄えるシステムだ。この電力は、ステアリングホイールのスイッチ操作によって、約6 - 8秒間引き出すことが可能で、追い越し等の加速が必要な時、モーターがエンジンパワーをアシストする役割を担う。
ポルシェは、この911GT3 Rハイブリッドで、5月15 - 16日、ドイツで開催される「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に参戦する計画だ。
一方、ポルシェ初の市販ハイブリッドとなったのが、カイエンS ハイブリッド。フォルクスワーゲン『トゥアレグハイブリッド』と同じ、パラレル式フルハイブリッドシステムを搭載する。
ガソリンエンジンは、アウディ『S4』用の直噴3.0リットルV型6気筒スーパーチャージャー(333ps)。モーター(47ps)との組み合わせにより、最大出力380ps、最大トルク59.1kgmを引き出す。走行状況に応じて、モーター単独、エンジン単独、モーター+エンジンと駆動モードを切り替え。モーターがエンジンをアシストするフル加速状態では、V型8気筒ガソリンエンジンを積む『カイエンS』に匹敵する性能を見せる。
最高速60km/hまでなら、モーター単独で数km程度、ゼロエミッション走行が可能。欧州複合モード燃費は12.2km/リットル、CO2排出量は現行ポルシェのラインナップで最も少ない193g/kmとした。
レース用ハイブリッドと、市販ハイブリッド。両車のキャラクターは違うが、共通するのは「エフィシエンシー」の追求だ。ポルシェのフィロソフィー、「インテリジェントパフォーマンス」を、異なるアプローチで具現化した2台の映像は、動画共有サイトで見ることができる。