メルセデスにあてはめれば、『Eクラス』になる。プレミアムクラスのミドルセダンである。英国流の落ち着きと、ジャガー流の躍動感が漂う、じつに品のいいクルマに思う。
欧州のベーシックカーである。彼の地で使われる移動の道具として、もっとも「素」に近いものを具体化すると、こうなる。
三菱の骨格から脱し、フォード、マツダとの共同開発。とくに車体設計はボルボがリーダーシップを取ったことで、ようやく「小さめボルボ」と呼べるクルマができた。
乗った最初の印象は、けっこうよく走るというもの。正直なところ、そんなに期待していなかっただけに、想像した以上によく走ってくれることに驚かされた。
マツダが開発したBセグメントのシャシーを使ったモデル。したがって『デミオ』と兄弟車になる。
マツダの『アクセラ』がヨーロッパCOTYでVW『ゴルフ』と同点の2位だったことからわかる通り、フォードグループで生産されるCセグメント車用として開発されたマツダのシャシーは優れたポテンシャルを持つ。
試乗したのは『T-5』だけだが、パワフルなターボ仕様のエンジンを搭載したモデルだけにじつによく走る。
走り出し真っ先に感じたのは、このクラスにしては室内が非常に静かだったこと。エンジンノイズや風切り音などをカットして、耳障りな雑音が少ない。
コンパクトに見えるがヨコ幅はあるので、実際に乗ると意外と広く感じる。つまり、トレッド(左右のタイヤ間の距離)が広いということで、ハンドリング性能も予想以上によい。
とてもいい雰囲気を持っている。プロポーションは、FFの3BOXセダンとしてはアルファ156に並ぶ秀逸な出来ばえだ。