高速域での直進安定性がよい。スタビリティはこのクラスとしては抜きん出ている。サスペンションは硬めの印象。多少突き上げ感はあるが、すぐに馴れてしまうレベルのものだ。
乗ると思わずウットリしちゃう世界、あります。「これぞシトロエン!(あるいはPSA!)」と叫びたくなる秀逸な乗り心地。
乗り心地や身のこなしの、つまり動的印象に関する洗練度がさらにまた上がった。前回の大規模マイチェンで「あ、これなら」の水準に達したあとも、細かいダメ出しとその修正の作業は地道にシツコく続けているようだ。
ルノー『セニック』の追随商品。でもセニックの快適背高空間のディテールまでは理解が至らず、空間設計は類型的。
今のジャガーに英国伝統の高級上質車を期待してはいけない。フォードのアメリカ人がイギリスに来て、高級車という商品を作っているのだから。
パブロ・ピカソの絵を見て「美しい!」とか「欲しい」と感じる日本人は少数派だと思う。そのピカソをイメージして開発されたモデルだけに、それだけで高いハードルを作ってしまっているようだ。
ジャガーのラインナップの中で、もっとも評価が難しいモデル。というのも「ジャガーである」ということ以外、特徴を持たないからだ。
アクセルを全開にした瞬間、スーパーチャージャーが唸る。『R』の加速力はスゴイ! 406psでリヤタイヤが大地を蹴飛ばす。ポルシェのようなダッシュ力だ。
ドライバーズシートに収まったときの気分が印象的だ。肩口から上のほぼ全周にわたってガラスが張り巡らされ、キャブフォワードによってモノスペースとした室内の広がり感とエアボリュームが、さらに開け透けな印象を深めている。
ここが変わったと具体的に指摘されないとわからない。グリル回りと前後バンパーなどがリファインされたのだが、どれも最初からそうだったように見えたりして。