BMWがSUVではなく“SAV”(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼ぶ理由が『X3』にひと度乗るだけで誰もが理解できる。
フロントマスクがちょっとアジアンテイスト(?)な『X3』も、走ってみれば見事なまでにBMW。
ハッチバックモデルに比べると見た目上の個性が低下してしまったいっぽうで、後席居住性をグンと向上させたメガーヌのワゴン。が、走りの印象はちょっと大味。
『5シリーズ』と『X5』の関係を『3シリーズ』に換算すると『X3』になる。いろいろ部品の順列組み合わせが得意なBMWらしい一作。姉さん格のX5より少し小さいのに、設計が新しいため室内は広い。
サイズは全幅1850mmもあるのに、それと感じさせない。デザイン力と実際の取り回しがいいための錯覚だろう。この種の錯覚なら歓迎だ。
ハンドリングは切れ味がよく、SUVとは思えない小気味よさだ。ワインディングでもスポーツカーに負けないコーナリングを披露してくれ驚かされた。
フランス車らしく嫌みのないお洒落なデザイン。インテリアのデザイン、それにシート表皮などの色づかいなどセンスがよく、心憎いばかりだ。
しっかりしたボディにスムーズに回るエンジンを搭載し、安定性の高い走りを示すなど、いろいろな意味でとてもよくできたクルマだと思う。
搭載される2リッターエンジンはとくにパワフルというほどではなく、まあ普通の実力。高回転まで回したときのノイズが大きめなのはやや難点だが、日常ユースでは自然な感じで乗れるのがよい。
日本流「大箱」ミニバンの典型を追った商品企画。ロングスライド&平坦床面を安直に設計した結果、2〜3列目の床面が前傾=つま先下がりで、よい姿勢を保持できないのが残念。