電動マイクロモビリティ『ストリーモ』…安定がもたらす新たな体験

ストリーモ(プロトタイプ)。ライダーは森取締役CEO
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  • ストリーモ(プロトタイプ)
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ストリーモは6月13日、ユーザーの「安心感」を第一とした新たな移動体験を提供する電動マイクロモビリティ『Striemo(ストリーモ)』を発表した。ストリーモの特徴は「自立・安定」、「バランス取りの不安感軽減」、「人や他の交通手段との親和性」。

◆より多くの人に移動の楽しさを提供したい

株式会社ストリーモの森庸太朗代表取締役は「移動する楽しさの一つに発見や出会いがある。より多くの人に移動の楽しさを提供できるのがマイクロモビリティ領域だ」と考える。

しかし、従来のマイクロモビリティである電動キックボードにはあまりいい体験がなかったという。「乗り物ではない、と感じた。人と車両との対話がなく、唐突に予期しない動きをする」。倒れないモーターサイクルの研究も進んでいるが「人と協調するのが難しい乗り物だ」と森はいう。

新型マイクロモビリティのストリーモは、例えて言うなら、前1輪+後2輪の三輪キックボード(キックしない)、あるいは立ち乗りシニアカー(ハンドルが左右にリーンする)といったフォーマットの乗り物だ。日本の法規では一種原動機付自転車扱いとなるが、2年以内に施行予定の新法規では、自転車専用道走行可、歩道走行可(条件あり)、免許不要、ヘルメット着用義務なし、といったかたちになる。

車体サイズは全長1090×全幅480×全高1180mmで、重量は約20kg。約3時間半の充電で30km(郊外実測値)走行でき、最高速度は25km/hとなっている。駆動輪は前輪で、ホイールインモーターを装備する。森代表取締役によると「小回りがきくように前輪駆動とし、目標とする走る・曲がる・止まるの性能を達成するために寸法や重量が決まった」という。

◆ストリーモの特徴を試乗で確認

ストリーモは人がもつ自然な反応を活かした世界初の「バランスアシストシステム」により、停止時も自立し、極低速から快適な速度まで、安定した走行を可能にした(=自立・安定)。石畳や轍、傾斜でも進路や姿勢を乱されにくく、走行時のバランス取りの不安を軽減できる(=バランス取りの不安感軽減)。ふらつきにくく、足をつかずに停止できるため、歩行速度での移動でも安心して走行できる(人や他の交通手段との親和性)。

安定、安心して走行できることにより、ユーザーは周囲を見渡すことができ、歩行者や自動車との親和性も高まり、移動が楽しくなるわけだ。

6月13日の発表・説明会では短時間なら試乗もでき、安定性が確認できた。特に段差を越える時の姿勢の安定と進路の安定維持は優れている。慣れてくるとスキーのような感覚でスラロームできる。

◆開発の背景と今後の展望

株式会社ストリーモはホンダの社内起業制度IGNITIONからスタートアップで、 ホンダのエンジニアを中心に2021年8月に創業された。会社名のStriemoはSmall TRIp E-MObilty、商品名のStriemoはStanding TRI-wheel E-MObilityを意味する。事業化を加速するため独立分社化した。

マイクロモビリティ市場は国際的な脱炭素化へのシフトを背景に、 2030年までにグローバル市場において17.4%の年成長率、1980億米ドルの市場規模に急拡大すると言われる(※引用1)。他方、電動キックボードの事故率は自転車と比べ18倍高く(※引用2)、またその主な原因は路面状況などによる単独事故が80%と分析されるなど(※引用3)、既存のマイクロモビリティでは走行の安定性に課題が残っている。

ストリーモはまず、 2022年中に日本国内にて一般消費者向け、および商業施設・空港・倉庫・建設現場などの移動用マイクロモビリティとして販売する。2023年以降には欧米市場への展開を始め、将来的には世界中で高齢者を含めたより多くの人が安全かつ容易に使える「マイクロモビリティの新しいスタンダード」をめざす。生産は台湾の企業と調整中(工場は中国)、販売はウェブを予定、アフターサービスについては検討中だ。

正式発売に先駆け6月13日より国内一般消費者向け抽選販売(限定モデル、300台、消費税込み価格26万円)の申し込みをネットで受け付けている。

※引用1:Valuates Reports "Global Micromobility Market" (2021)
※引用2:Electric Scooter Guide "Electric Scooter Safety Report: An Analysis from Data Just Released from Austin & Portland"
※引用3:Austin Public Health "Dockless electric scooter-related injuries study" (2018)

《高木啓》

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