【レクサス LX 新型】「ランクルのレクサス版ではない」進化、6つのポイントとは

レクサスLXとチーフエンジニアの横尾貴己氏
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  • レクサス LX600
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レクサスのネクストチャプター第2弾『LX』

レクサスは一部報道陣に同社のフラッグシップSUVの新型『LX』のプロトタイプを公開した。発売は2022年初頭を予定している。

レクサスインターナショナル製品企画チーフエンジニアの横尾貴己氏は新型LXの位置づけについて、「ラグジュアリーセグメントにおいて、お客様のニーズやライフスタイルは、多様化している。そこにレクサスブランドとしてしっかり寄り添い目指した“ネクストチャプター”の第2弾モデルだ」という。レクサスとして次世代に突入することを指すネクストチャプター。第1弾は『NX』である。機能に根差したデザインやTAZUNAコンセプトのコックピット、そして、どのレクサスに乗ってもレクサスだとわかる乗り味などを目指している。

レクサス LXのシャシーレクサス LXのシャシー

もうひとつ、「これまで全世界のお客様から本当にいろいろなご要望を頂いてきた。そこに応えるために、伝統でもあるボディオンフレーム構造はしっかりと維持をしながら、14年ぶりにフルモデルチェンジを迎えたのが4代目だ」と述べた。

開発コンセプトは、“世界中のどんな道でも楽に・上質に”とされた。世界中のどんな道とは、「中東地域の砂漠や岩石路、モーグル路などの激しい路面。日本国内では駐車場や市街地、高速などを含めて」とし、LXの伝統的な強みである信頼性・耐久性・悪路走破性をベースに、乗り心地や静粛性を磨き上げたと語る。

6つのポイント

レクサス LX600レクサス LX600

新型LXのポイントは6つ。ひとつ目は、上質な走りの進化を実現した“素性の刷新”だ。これは、「ネクストチャプター第1弾のNXから続くクルマの体幹をしっかり鍛え、それによって走りのベースをしっかりと底上げをしようという考え方に続くものだ」と横尾氏。具体的にはGA-Fプラットホーム(TNGA初のラダーフレーム構造でランドクルーザー300系にも採用)をレクサスとして初採用。V型8気筒5.4リットルからダウンサイジング化したV型6気筒3.5リットルツインターボエンジンや、ルーフ素材を軽量のアルミニウムへ置き換えることで低重心化と同時に約200kg軽量化を実現したことだ。

次に、レクサスドライミングシグネチャーを追求したオンロード走行性能とし、「レクサスならではの走りの味を、ラダーフレーム構造のLXでもしっかりと実現。レクサスブランドを選んだお客様誰にでも、同じレクサスの味だと感じてもらえる乗り味を目指した」と横尾氏。前述のツインターボエンジンによる高出力、高トルク化でアクセルの踏み始めからシームレスでリニアな加速のほか、初採用したEPSやボディへの構造用接着剤の採用などにより、ステアリングやアクセル操作に対する素直な応答性を実現した。

3つ目は、LXの真骨頂でもあるオフロードの走行性能向上だ。「オンロード性能をしっかりと引き上げると同時に、決してオフロード性能も妥協せず、もっと磨き上げることも一緒にやった。“オフロードにおける上質さ”も考えながら作り上げた」と横尾氏。「アクティブハイトコントロールサスペンションやアダプティブバリアブルサスペンションシステムのチューニングをきめ細かく行うことで、悪路での接地感を高めつつ、上質な乗り心地を実現。また、マルチテレインモニターの見え方や、クロールコントロールの制御内容など、オフロードという環境下でも、LXとの時間を楽しんでもらえるようにこだわりを持って作り込んだ」とは、同車両技術開発部TAKUMIの上野和幸氏の弁。

レクサス LX600レクサス LX600

そして4つ目は、多様化するお客様のニーズに寄り添うラインナップとされた。従来モデルはモノグレード展開だったが、新型では、4座仕様のエグゼクティブと、国内専用として“オフロード”というパッケージ(グレード)がラインナップされた。オフロードは力強い走破性を感じさせるデザインとともに、前後デフロックを備えている。

5つ目はデザインだ。「このプロントマスクは先日発表した電動車(『エレクトリファイドSUV』)のデザインモチーフも取り込まれたデザインだ。近くで見ると、インパクトだけでなく、非常に繊細な作り方がされている」と話す。そのフロントマスクは、機能に根差した次世代レクサスのデザインランゲージを追求した新しいスピンドルグリルにより、立体的かつメッキフレームがないことによるボディとの一体感を強調。塊感を表現すると同時に冷却機能や整流効果といった機能を両立している。インテリアもTAZUNAコンセプトにより、表示類やスイッチ類を配し、悪路でも少ない姿勢変化や視線移動で安全かつクルマを意のままに操ることが出来るコクピット空間に仕上げられているという。

最後は人間中心の考え方に基づいた最新安全技術と利便性向上だ。横尾氏によると、「ここもTAZUNAコンセプトを使ったコックピットや、後席でも利便性向上やおもてなしや考え方を織り込んでいる」と述べるとともに、レクサス初採用の指紋認証式プッシュスタートスイッチを採用することでの盗難リスクの低減なども盛り込まれている。

レクサス LX600レクサス LX600

ランクルのレクサス版ではない

横尾氏は、もうひとつ重要なこととしてこれまでとの開発アプローチの違いを挙げる。「従来型までのLXは大変素晴らしいクルマで、多くのファンの方もいる」としたうえで、「従来はトヨタ『ランドクルーザー』といかに差別化し、どうするとレクサス化できるかだった」と振り返る。これによって、「メディアからもランクルのレクサス版と紹介されたことも多かった」という。しかし新型の開発陣が重視をしてきたのことは、「ランクルと共通の信頼性、耐久性、悪路走破性は歴代LXのDNAでもあるので、そこはしっかりと守りながらも、レクサスのフラックシップSUVとしてのLXを初めから作るという気概のもとで、レクサスインターナショナルの総力をあげて開発した。そういった考え方の違いもプロダクトに表れている」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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