世界初の燃料電池の防弾装甲車、BMWが発表…IAAモビリティ2021

国際的な防弾装甲規格「VPAM」による「VR6」基準を満たす

15kgのTNT爆弾の爆発に耐える

水素の充填にかかる時間は3~4分

BMW コンセプト iX5 ハイドロジェン・プロテクションVR6
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BMWグループはIAAモビリティ2021において、『X5』をベースにした燃料電池車、『iX5ハイドロジェン』の防弾装甲仕様コンセプトカー、『コンセプトiX5ハイドロジェン・プロテクションVR6』(BMW Concept iX5 Hydrogen Protection VR6)を発表した。

BMWグループは40年以上に渡って、防弾装甲仕様車を開発してきた経験がある。そのノウハウを投入したのが、iX5ハイドロジェンがベースの防弾装甲仕様コンセプトカーだ。BMWグループによると、水素燃料電池パワートレインを搭載した世界初の認定セキュリティ車両になるという。

国際的な防弾装甲規格「VPAM」による「VR6」基準を満たす

コンセプトiX5ハイドロジェン・プロテクションVR6は、政治家や企業経営者などのVIPをはじめ、特別な保護を必要とする人々のニーズを満たし、防弾装甲仕様車の持続可能性に関する新しい基準を設定することを目指した。このコンセプトカーでBMWグループは、CO2フリーモビリティのための水素燃料電池技術の重要性と、持続可能なソリューションを追求しながら、セキュリティ車両の開発における新しい課題を克服する能力を示しているという。

コンセプトiX5ハイドロジェン・プロテクションVR6には、車体に組み込まれた安全装備により、国際的な防弾装甲規格の「VPAM」の公式テスト基準に従って、レジスタンスクラス「VR6」の要件を満たす。これにより、銃器や爆発物による攻撃から乗員を保護する。

BMWの特徴である優れたダイナミックパフォーマンスは、危険な状況からの脱出を容易にするという。また、ベース車両と大きな違いのない外観は、高いレベルの安全性を確保する上で、重要な要素になる。

15kgのTNT爆弾の爆発に耐える

高強度鋼で作られた成形部品、厚さ約30mmの防弾ガラス、ラゲッジコンパートメントのパーティションをはじめ、ドアの隙間や車体の接合部、ボディパネルとガラスの間などはしっかりと密封された。これにより、自動小銃の「AK-47」による攻撃から乗員を保護し、「HG85」手榴弾の攻撃による破片の侵入を防ぐという。

またキャビンは、4mの至近距離での15kgのTNT爆弾の爆発に耐える性能を持たせた。爆発後も、すべての窓はしっかりと固定されているため、窓ガラスと本体の間に隙間が生じることはない。

手榴弾の攻撃に耐えるために、アンダーボディを特別に開発した。非磁性のアンダーボディシールドによって、バルブシステムを含む水素タンクを保護する。これにより、軽量性と充分な最低地上高を確保した。ボディの高い曲げ剛性を維持しながら、爆風から保護する構造を備えたシステムは、コンセプトiX5ハイドロジェン・プロテクションVR6のために開発された。

水素の充填にかかる時間は3~4分

ベース車両のiX5ハイドロジェンには、BMWグループの第5世代のEVパワートレイン、「eDrive」が搭載される。電気モーターは最大出力374hpを引き出す。374hpのパワーは、BMWの最も強力な直列6気筒ガソリンターボエンジンの出力に相当する。これにより、BMWブランドらしいドライビングダイナミクスを可能にしているという。モーターの上に配置されたバッテリーは、追い越しや加速時にブースト電力を供給する。

iX5ハイドロジェンの燃料電池システムは、水素と酸素の化学反応によって、最大170hpの電気エネルギーを生み出す。燃料電池の下にレイアウトされる電気コンバーターは、電圧レベルを電動パワートレイン、ブレーキエネルギー、燃料電池からのエネルギーによって供給されるバッテリーの両方の電圧レベルに適合させる。

iX5ハイドロジェンには、700バールの水素タンク2個が搭載されており、CFRP製のこのタンクには、最大6kgの水素を積むことができる。水素の充填にかかる時間は3~4分、としている。

《森脇稔》

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