【マツダ ブラックトーンエディション】走って楽しいという思いをカラーで表現…商品主査[インタビュー]

マツダ ブラックトーンエディション
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マツダは特別仕様車の“ブラックトーンエディション”を『マツダ2』、『マツダ6』、『CX-5』、『CX-8』に設定した。これまでの特別仕様車はラグジュアリー方向が多かったのに対し、スポーティなイメージを求めたものだという。ではなぜその方向にしたのか、またその目的は何かなどについて話を聞いた。

バラバラな企画を“群”として

----:今回、4モデルに対しブラックトーンエディションが設定されました。これはどういう目的で企画が始まったのでしょうか。

マツダ国内営業本部ブランド推進部主幹の二宮誠二氏(以下敬称略):現在のラインナップを見ると、『ロードスター』を除いてスポーツ方向のクルマを持っていませんでした。昔は特別仕様車などで色々やってはいましたので、新しい選択肢としてラインナップに入れたかったというのがまずありました。

そういった考えは各担当にもあって、実は当初、このクルマたちはバラバラに企画が動いていたのです。例えばマツダ6では、2021年ぐらいに入れようと計画していました。そこでデザイン本部からも“群”で訴求するようなやり方は出来ないかと提案があり、その話を聞きながら、CX-5、CX-8も考えていましたので、ここにマツダ6が入ってくると塊になります。そこで同じタイミングでやろうということになったのです。我々はリソースをたくさん持っているわけではありませんので、例えばCX-5やCX-8であればある程度マス告知も可能ですが、マツダ6まで行くと多分出来ない。そこで群で訴求していこう、個別車種というよりもマツダブランドとして訴求していきたいと考えていきました。

そういった準備しているうちに実はマツダ2もあるらしいという話を聞き、担当者に確認したところ、よく似ている内容でしたので、少し直してもらいながらブラックトーンエディションとして仕立てたのです。

理想は『CX-3』もやりたかったのですが、こちらは1500ccを投入したことや、また、女性比率も高いことから、女性をターゲットにしたアーバンドレッサーという企画が動いていました。外観もポリメタルグレーを使うなどでよく似ているのですが、インテリアは真逆の明るいものです。そこにさらにブラックトーンエディションを追加すると、多分同じような価格帯になるので、そこまで増やすと逆に現場も困るだろうと今回は4車種で展開しました。

これが第一弾

----:CX-5とCX-8の商品主査を務められている松岡さんはいかがですか。

マツダ商品本部の松岡英樹氏:スポーティな方向のグレードを作りたいという話は以前からありました。当然マツダのスポーティなクルマというのは、アピアランスのところでやらないと駄目なのですね。エンジンはどうなっているのか、足回りはどうなっているのかなどの話を延々と何度もやっているのですが、これではいつまでたっても何も出来ない。さらにこれまではとにかく上質な方向上質の方向にと振って来ましたので、その結果、みんながみんな上質な方向に行ってしまって、どのクルマにもスポーティなモデルがなくなったことにハッと気づいたわけです。そこで出来ることからやっていこうと今回に繋がっていきました。

----:つまり仕掛けとしては第一弾ですね。

松岡:そうです。これをやってハイ終わり、ということではないと思っています。

----:これをきっかけにして次のステップを考えていく。メカをいじらなければいけないのか、カラーなのか・・・・。

松岡:もっと違う表現があるかもしれません。ある意味今回は定番ということです。

ファンと繋がるにはスポーティな方が良い

----:いまのお話を伺うとマツダの中で、スポーティという表現は簡単なことではないようですね。スポーティという定義がマツダの中にあり、それを踏まえながらも、今回のブラックトーンエディションを作るのは相当大変だったことでしょう。

松岡:そうなのです。自分たちが走ってこれが楽しい、と思えることがスポーティの定義です。それを今回はカラーで表現したわけです。

マツダ6だけは、ターボエンジンを搭載した25Tをスポーティな方向にしようと、Sパッケージをラインナップしています。重量も他のクルマに比べて軽いこともあり、よりターボらしさが出ますのでスポーティなSパッケージを出しました。それに今回はブラックトーンという内外装を表現したものを追加したのです。

----:因みに他のクルマたちでSパッケージは出さないのですか。

松岡:これから考えていかないといけないと思っています。そういうのも含めて育てたいなと思っているわけです。『ロードスター』は、ファンと強い繋がりがありますので、このクルマだけではなく、どのクルマでもそういう繋がりが出来れば良いですね。そういうのは上質な方向のクルマではなく、スポーティなクルマの方がマツダのお客様は繋がりやすいと思っています。

----:最後にマツダ3を外したのはどうしてですか。

二宮:これは第7世代と第6世代を分けた結果です。マツダ3はデビューしてからそれほど経過していませんが、第6世代に関してはデビューしてから時間が経っていますので、特別仕様車で新しい世界観を入れたいと考えたのです。カタログモデルで一通りの世界観は作りますが、どうしても表現しきれないものや、追加の要望などが出て来ますので、その時に特別仕様車という形で提供するようなイメージで行っています。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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