【ホンダ CRF250ラリー 試乗】大排気量ユーザーも羨む?まさにアドベンチャーな実力…青木タカオ

大排気量が主流のアドベンチャーモデル。ゆとりの車体と余裕あるパワー、リラックスできる乗車姿勢と快適性で長距離をこなし、山岳路やダートも突き進む。

欧州ではアルプスローダーなどとも呼ばれ、タフな長旅の相棒として人気を博す。四輪車ではSUV、はたまたクロスカントリーか、はっきりと定義づけるのは難しいが、バイクにもそんなカテゴリーがある。

パリダカレプリカの末弟

ホンダ CRF250ラリーホンダ CRF250ラリー
ルーツは世界一過酷と言われるパリ・ダカールラリーを駆けるマシンで、ホンダなら『アフリカツイン』がその代表格。パリダカで86年から3年連続優勝という偉業を成し遂げたワークスマシン『NXR750』で得た技術をフィードバックし、88年に初代が登場した。

2016年に「CRF1000L Africa Twin」として復活すると、19年には排気量を拡大し「CRF1100L Africa Twin」へ進化。ホンダ・アドベンチャーモデルの伝統を現代に伝えている。

末弟として、そのDNAを受け継いでいるのが『CRF250RALLY(ラリー)』だ。「CRF250L」をベースにし、2017年にラインナップに加わった。ダカールラリー参戦マシン「CRF450RALLY」のフォルムだけではなく、その開発思想を受け継いでいる。

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そしてホンダがダカールラリー二輪部門で、2020年に続き21年大会も連覇したいま、CRF250RALLYが新型となってバイクファンらをワクワクさせている。

250ccながら、ラリーレーサーを彷彿とさせる堂々たるスタイリングで、街乗りから林道ツーリングまでオールマイティーに走れることを目的に開発。オン・オフどちらも、走りをレベルアップした。

250ccながら高速巡航力がスゴイ!

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新型はまず、250ccクラスではどうしても不得手となるクルージング性能を高めている。高速道路を走ると、スクリーンとカウル、左右に張り出したシュラウドで走行風をシャットアウト。ウインドプロテクションが抜群にいいことに加え、振動が乗り手に伝わらないようハンドルウェイトやステップラバー、ラバーマウントの専用シートを採用している。

CRF250Lより20mm広い座面で、クッションも厚く座り心地がいいことも見逃せない。そして燃料タンクは容量を2リットル増やし、12リットルのビッグタンクに。航続距離を伸ばし、開発責任者の杉山栄治さん(本田技研工業、二輪事業本部ものづくりセンター)によれば兄貴分アフリカツインとツーリングしても「給油タイミングがほぼ同じになる」とのことだ。

吸排気系や点火時期を見直した水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンは、オーバードライブ6速での100km/h巡航を6000rpmでこなし、最高出力24psを発揮する9000rpmまでまだまだ余裕たっぷり。トップ6速のみギヤレシオをハイギヤード化し、エンジンにもゆとりを持たせている。

軽さを武器にダートも市街地も俊敏

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250ccならではの軽快性や扱いやすさももちろん健在だ。1~5速はローレシオにし、低中速を多用する市街地やオフロードでは、よりキビキビ走る。

特にダートでの走破力が飛躍的に向上した。これは杉山さんが自身で国内外のオフロードを走り込み「もっとオフロード性能を高めなければ」と感じたからで、ユーザーの要望にも耳を傾けた結果。

ベース車となるCRF250Lのスチール製ツインチューブフレームやスイングアームから作り直し、ボトムブリッジもアルミ鍛造製にグレードアップ。ABSを標準装備し、燃料タンクを大容量化したにも関わらず、従来モデルから5kgもの軽量化を実現しているのだから頭が下がる。

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軽さを武器にぐいぐいダートを走れ、冒険心を広げるタフな走りが楽しめる。サスペンションのストローク量も充分で、初期荷重ではしなやかに動き、奥では踏ん張りが効く衝撃吸収性に優れたセッティングが施されている。まだ見ぬ地へ、まさにアドベンチャーモデルといえる走りっぷりなのだ。

今回乗った『CRF250RALLY<s>』は前後サスペンションともに260mmのクッション量を確保し、より走破性を高めたモデルとしている。<s>と車名に付かないスタンダードCRF250RALLYでもクッション量はフロント235mm/リヤ230mmあり、<s>のシート高885mmが厳しいという人には830mmまでシート高を抑えたスタンダードもオススメである。

大排気量ユーザーも羨むかも!?

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そして軽快な250ccモデルの強みは、林道の奥深くに気兼ねなくトライしていけるところ。行き先がどうなっているのか分からぬまま、シングルトラックも気にせずどんどん分け入っていく。

案の定、やがて行き止まりとなるわけだが、CRF250L譲りの車体は重さ152kgほどで、さほど苦労せずUターンができてしまう。もしも大排気量モデルだったなら、そう容易くはない。どれほどの時間と体力を消耗していただろうと想像すると、ゾッとするところだ。

メーターは文字が大きくなり、燃料計やシフトインジケーターが追加された。ABSやスリッパークラッチも標準装備。気軽に乗れて、あらゆる用途に使える「CRF250RALLY」および「CRF250RALLY<s>」は、本音を言うと体格的にラクではない超絶デカい大排気量アドベンチャーユーザーも興味津々なはず。軽二輪クラスをさらに活性化させることは間違いないだろう。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

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