コロナ危機が導く日産・三菱・ルノー”赤字”連合の提携強化[新聞ウォッチ]

日産グローバル本社(横浜市)
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気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

経営不振の日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の日仏3社連合が、新たな提携の強化策を発表した。3社の本社のある横浜、パリ、東京・田町を結ぶオンラインによる記者会見だったが、ルノーのジャンドミニク・スナール会長は、「経営統合は必要ない。台数よりも効率性と競争力で提携の強みを発揮していく」と強調。水面下でくすぶり続けていた日産との統合話は否定した。

きょうの日経も1面で「日産との統合不要」と報じたほか、各紙も日仏3社連合の首脳によるオンライン会見について、総合面や経済面で取り上げている。読売は総合面で「地域担当制で効率化」、経済面で「提携戦略大幅見直し」とのタイトルで「新型コロナウイルスの感染拡大で3社とも経営環境は厳しさを増しており、改革は待ったなしとなっている」と伝えた。

また、朝日は3社の役割分担として「日産 - 中国・北米・日本で中心役」「ルノー - 欧・ロ・南米・北アフリカ」「三菱自 - 東南アジア・オセアニア」を見出しにしている。地域や技術ごとに1社を「リーダー」、あとの2社が「フォロワー」として役割分担を進め、車種あたりの投資額を最大40%減らして、提携効果を高めながら反転攻勢を目指すのが提携強化の狙いという。

毎日は経済面の「検証」で「日産・三菱・ルノー分業強化、生き残りへ拡大より効率」。産経も総合面で同様の記事だが、経済面の解説記事では「日産連合『コロナ後』示せず」とのタイトルで「連合を取り仕切っていたカルロス・ゴーン被告の逮捕から1年半を経て、ようやく新たな協力計画を示した。内紛の一因だった『経営統合』を棚上げし、コスト高につながった世界販売台数の追求からの脱却を掲げた」と説明。

しかし、「新型コロナウイルスにより激変している事業環境下での将来像は示せなかった。経済危機が深刻化する中で仏政府がルノーへの関与を強める姿勢も見せるなど、連合の進む道のりは今後も波乱含みだ」と指摘する。

先の見えない不安と脅威が付きまとう中で「コロナ後」を示すのは容易なことではない。3社の経営陣の中では最長老の三菱自動車の益子修会長は、これまでも幾多の危機と直面してきた。ネット上の画面を通じてだが、約1時間の会見中、終始俯き加減で臨んでいた益子会長の姿が、3社連合ばかりでなく世界の自動車産業の行く末を案じているようにも見受けられたのだが……。

2020年5月28日付

●2次補正32兆円決定、過去最大、家賃・資金繰り支援 (読売・1面)

●地域担当制で効率化、日産・ルノー・三菱自提携策 (読売・2面)

●仏、車業界に雇用維持要請、大統領9400億円支援を表明 (読売・9面)

●日立金属社長ら5人辞任、検査不正で引責、新社長に西山氏 (朝日・6面)

●トヨタ、オンライン面接導入 (朝日・6面)

●日本人140人が武漢帰任、自動車生産復旧へ (産経・9面)

●新幹線の浸水対策公表、国交省車両避難し被害最少化 (東京・7面)

●「日産との統合不要」3社連合中計、ルノー会長、協業急ぐ (日経・1面)

●マレリ1300億円を調達、コロナ対応、自動運転開発資金も (日経・13面)

●日本電産,吉利にEVモーター (日経・13面)

●VW,中国政府系に出資で調整、合弁親会社50%取得へ。ロイター報道 (日経・14面)

●中古車競売成約率40%台、10年ぶり低水準 (日経・14面)

《福田俊之》

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