トヨタ C-HR は異例づくしの「こだわり」と「割り切り」から生まれた…オートモーティブワールド2018

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トヨタ自動車 古場博之氏
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  • トヨタC-HRのデザインの変遷
  • トヨタC-HRのデザインスケッチ
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◆「小さいSUVをやれ」からスタートした

トヨタ自動車のコンパクトSUV『C-HR』は、メイン市場のヨーロッパで発売から1年が経過した現在も月1万台以上の販売を続けるヒットモデルとなっている。

当時、C-HRの開発責任者を務めた古場博之氏(現在はGAZOO Racing Company GR開発統括部)は「C-HRは2010年初頭に企画がスタートしたが、当時はただ『小さいSUVをやれ』と言われただけで何も決まっていない状態だった」と明かす。

しかも「小さいSUVがこれから売れそうだということで始まったプロジェクトではあったが、どれくらいのサイズであれば小さいものなのかという定義すらなかった」ことから、「とりあえずBプラットフォームで計画を始めた」と古場氏は話す。
トヨタC-HRのデザインの変遷
ところが「小さなハッチバックのボディに大きなタイヤを付けてリフトアップすればスタイリング的にインパクトがあるだろうということでBプラットフォームを選択したが、実際に大きなタイヤを履かせようとしたらBプラットフォームではフロアパネルの一部以外に使える部分がないことがわかった」。

このため「コンパクトSUVに求められるニーズや、このクルマが売り出される頃の環境性能などを考えると当時開発が進められていた4代目『プリウス』向けハイブリッドシステムを使いたい。TNGAのCプラットフォームであれば、やりたいことが具現化できるということで、プラットフォームの前提を変えた」という。

C-HRは出足から波乱含みとなったが、古場氏は「コンセプトは明解で、格好と走り。それはC-HRの名前の原点にもなっている。“コンパクト・ハイライダー”という格好の良さと、“クロスハッチ・ランナバウト”という走りの良さ。格好と走りにはこだわり続けた」と強調する。

◆異例づくしの「こだわり」と「割り切り」から生まれた
トヨタC-HRのデザインスケッチ
だがそのこだわりがまた新たな波紋を呼ぶことになる。C-HRはダイヤモンドをモチーフにした強く絞り込んだ外観デザインが大きな特徴だが、バックウインドウの角度や、タイヤ前の平面、リアフェンダー後部の絞りなどが、空力性能面で「めちゃくちゃ悪いことばかり」(古場氏)になってしまった。

さらに、まるでコンセプトカーのように複雑で彫りの深いエクステリアデザインを見た生産技術担当者からは、難色を示されたという。

しかし、意外な後押しもあった。「C-HRの企画がスタートした頃というのは、豊田章男社長が『もっと良いクルマを造ろうよ』と呼びかけ、それに対し社員はひとりひとりが『もっと良いクルマとは何だろう』と思いながらやろうとしていた時期でもあった。空力や生産技術に関しても、みんなの『よしやろう』という気持ちがあったからこそ克服できた」と古場氏は振り返る。

一方、走りに関してもデザインに引けをとらないこだわりをみせた。ドイツのニュルブルクリンクでスポーツカーの開発テストをおこなうというのはよく聞かれるが、あえてSUVであるC-HRをニュルブルクリンクに持ち込み、過酷な状況下での走行評価をおこなった。これはトヨタとしても異例だったという。「C-HRがめざしたのは“我が意の走り”。ヨーロッパの人々はクルマに対して目が肥えていると思っていたので、こういうところでしっかりとクルマを開発してきた」と明かす。

その走行距離もまた異例だ。「軽く10万km以上、ヨーロッパを走り込んだ。おかげでテストコースではわからないこともわかった」。さらに開発のスピード感もこれまでにない方法で突き詰めた。「通常は日本で造り込んだものを現地で(走行テストなどで)確認して、また日本に持ち帰ってから煮詰めるということをおこなうが、C-HRは現地でわかった課題を、その場でチューニングして運動性能を造り込んできた」。

こうしたこだわりは「ほんの一例」だと話す古場氏。だが、「こだわったところと割り切ったところというのが明確にあるクルマなので、割と好き嫌いがはっきりするし、万人受けするクルマではないと思っていた」という。しかし蓋を開けてみればヒット車種に。「思っていた以上に売れている。とくにメイン市場のヨーロッパでは、BMWやミニ、アウディに乗っていたお客さんが結構来て下さっている」と、うれしい誤算が今も続いていると話した。

◆これまでのトヨタになかった取り組み伝えたい

古場氏は1月17日から東京ビッグサイトで開催される「第10回オートモーティブワールド」初日の『技術者応援企画 開発秘話セミナー』に登壇し、「C-HRの開発 そのチャレンジ」をテーマに講演する。

古場氏は「C-HRは、それまでのトヨタのクルマ開発にはなかったことを数多くやってきたところがあり、そのストーリーを披露したい」とセミナーへの意気込みをみせる。さらに「やりたいと思う気持ちの強さと、時には仲間とケンカもしながらも一緒にいろいろと考えて開発していけば、良いものができるということを伝えたい」とも語っていた。
トヨタ自動車 古場博之氏
■第10回オートモーティブワールド
自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など、自動車業界における重要なテーマの最新技術が1100社出展する世界最大の自動車技術展。毎年規模を拡大して開催しており、前回は世界中から3万4542名の業界関係者が来場した。「カーエレクトロニクス技術展」「EV・HEV駆動システム技術展」「クルマの軽量化技術展」「コネクティッド・カーEXPO」「自動車部品・加工EXPO」の5テーマに、新たに「自動運転EXPO」を加えた6つの展示会を開催する。また業界の第一人者たちが講演するオートモーティブワールドセミナーも注目を集めている。

会期:2018年1月17日(水)~19日(金)10:00~18:00 (最終日のみ17:00まで)
会場:東京ビッグサイト
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
■第10回オートモーティブワールド 詳細はコチラ!
《小松哲也》

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