このクルマの試乗記は“優雅”のひと言があればいいのではないか……。BMW「435iカブリオレ Luxury」に乗りながら、そう思った。
クーペも相当に優雅なクルマだが、カブリオレはさらにその上をいく。もちろん極上の走りが味わえるのがオープン状態だ。18km/h以下なら走行中でも20秒以内に全開可能な3分割のリトラクタブル・ハードトップは、先代(3シリーズ・カブリオレ)同様、手際よい造り。だが、このルーフを格納した状態のドライブこそ心弾む。絵的にレポーターが似合っているかどうか?はこの際、論外。試乗枠を度外視して、このままどこかに逃避してしまえたら……と心底思った。
オープンでも走行中のスカットルシェイクはほとんどなく、シート、フロアに感じる振動は気にならない。オープン状態のボディの強固さは十二分だ。クローズド状態より路面からの入力が都合よく逃がされる分、オープン時の快適性は高い。前席に座る限り風の巻き込みも気にならないし、ルーフ格納状態のほうが、より低重心となるせいか、山道もキレイにこなす。
直6の3リットルターボエンジン(306ps/40.8kgm)+8速ATの性能も十分。ECO PROモードならコースティング機能も働く。衝突回避・被害軽減ブレーキが標準装備だが、流すように走らせることが似合う。センスのいい2トーン内装も華美過ぎず落ち着く。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。