日産の大型商用バン『キャラバン』は、2012年6月にフルモデルチェンジを受け、車名も『NV350キャラバン』と改めた。
発表会で日産の志賀俊之COOが「すべての点でライバル車に勝つということで相当気合いを入れて開発に取り組んだ」と語ったように、ここ数年、トヨタ『ハイエース』に押され下降していたセグメントシェアの奪回を目指しての全面改良だ。
ハイエースという明確なターゲットが存在するだけに、多くの面でライバルのスペックを上回ることを狙いに商品力の強化がなされている。
たとえば売れ筋の2リットルガソリンエンジンを搭載する5ナンバーサイズ上級仕様のキャラバン「プレミアムGX ロングボディ」とハイエース「スーパーGL ロングバン」(いずれもガソリンモデル)とを比較してみよう。
ボディサイズはキャラバンが全長4695mm × 全幅1695mm × 全高1990mmでハイエースより10mm高いのみでほぼ同寸だが、室内長50mm、幅5mmキャラバンが上回る。またリアサスの張り出しもキャラバンのほうが低く小さいなど、実際の使い勝手にも配慮。
パワートレーンはキャラバンがショートストローク(89mm × 80.3mm)タイプの「QR20DE」に対して、ハイエースはスクエアストローク(86mm × 86mm)の「1TR-FE」で出力はそれぞれ96kWと98kWで拮抗しているが、トランスミッションはキャラバンが5AT(ハイエースは4AT)を採用していることもあってキャラバンは9.7km/リットル、ハイエースは9.2km/リットルを差をつけた。また、この仕様ではキャラバンはエコカー減税(減税率75%)の対象となり、取得税と重量税が9万5600円優遇される。
商品力ではわずかにキャラバンが上回るが、長年の実績に裏打ちされた信頼性やブランド力はハイエースの強み。キャラバン対ハイエースの対決は今後も楽しみだ。