スバル『XV』は最低地上高200mm、水平対向エンジン+4WD。これだけで、アウトドア嗜好のハートを打ち抜かれる思いである。
その人によって、クルマの使い方も違えば、求めるものも違うだろう。しかし、私のように山登りマニア(注・登山家とは違う)にしてみれば、轍も雪もものともしないこの設定は、たまらなくしびれる。
しかも、SUVでありながらまったくSUVっぽくないこのデザイン。山の装備はなんちゃってだし、キャンプもテントだけで食事はコンビニで済ませる山マニアにしてみれば、往復の距離をストレスなくスムーズに、いや、楽しく駆け抜けられるほうがどれだけ重要なことか。わかっているなあ、スバル。
走りはまさに期待どおり。アクセルもブレーキも、ハンドリングも、自分がこうと操作するとその方向へ向きを変え、加減速する。それも、サスペンションががっちがちに硬いわけでもなく、上質な低反発マットが一枚どこかに入っているかのような、無駄のないやわらかさが感じられる。車高が上げられた分、重心は高くなっているものの、サスペンションの設定が調整され心地よさが実現しているのである。
確かに一般的なSUVからいえば車内は狭いし、荷物も大量搬送はできない。でもこのサイズでこの乗り心地。楽しめることは請け合いである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。