だって、『プリウス』だしさ。EVモードがちょこっと伸びただけでしょ。バッテリーを大きくしたくないからって、EVでの航続距離が20kmちょいちょいじゃあねえ。
乗った瞬間、そんな考えはぶっ飛んだ。あら? こんな急な上り坂でアクセル踏んでもエンジンがかからない? あれ? 高速道路で100km/h近く出しても、エンジンがかかっていない? っていうか、都内でちょこちょこ動くのに、20kmの行動範囲ってこんなに広かったんだっけ、と、あまりの電気自動車ぶりに頬が紅潮するくらい興奮する。
すいーんと無音で走り、車庫入れのために鎖をはずすのにチョイ降りする間も静かに待っている。なんてかわいいの? しかも電気欠乏の不安なく高速道路にいられる安心感っていったらこのうえない。ハイブリッドと電気自動車のあいだの中途半端な存在なんて思っていたらとんでもない。炊飯器にあたため機能がついた電子ジャーの登場のような、そんな衝撃的な価値あり。
プリウスうんぬんよりも(失礼)、このプラグインHVってかなりイケてる存在だと思う。できれば充電コードがもう少し、スマートに仕立ててもらえるといいんだけれど。ま、それも時間の問題ですかね。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト
1962年横浜市出身。いま一番購買力があるとされるアラフィー世代を代弁する軽妙な論調に定評あり。交通安全啓蒙に力を注ぐほか、子供たちに命の大切さを伝えるノンフィクション作家としても活動。近著に『ハチ公物語 - 待ちつづけた犬 -』(講談社青い鳥文庫)。