簡単にいえば、本籍は日本だけど英語とドイツ語が上手い帰国子女ですな。行き届いたトヨタらしい気配りと、ヨーロッパ流の骨太感を巧みに融合させた秀作だ。
前席に座ると、ウインドシールドが遠く広く、天井が頭のはるか上にある。ミニバンふう空間の軽、というコンセプトだからこの演出が売りなのだが、無駄に高い。
窮屈で圧迫感のある空間。前席では頭の上〜前にルーフが垂れ下がり、後席はちゃんと座ると頭が天井〜リアガラスに当たる。
すべてが中途半端。空間設計は初代で「軽の定番」となった形や寸法をほぼ継承。外せない商品だけに変えられない…のはわかるが、そろそろ進化が必要。
ヨーロッパ車的と表現された日本車は過去にいくつかあるが、乗り味はアベンシスがもっともヨーロピアンカーのテイストを強く感じさせる。
サラブレッドというより暴れ馬。とくにウェットコーナリングでは、プリミティブなFRを彷彿とさせるシビアな操縦性を持つ。
スーパーチャージャー+CVTは力強く効率よく滑らかだが、雨天時はとくに無駄なロスが多すぎてそのよさを生かしきれていない。
シャシーのゲンカイはトンでもなく高い。だからといって感動的でも楽しくもないが、少なくとも強烈な異様さはある。どこまで攻めてもクルマは平然。途中でイヤになる。
箱型の背高グルマが主流のなかで、お洒落なスペシャリティカーだ。それだけに好みは明確に分かれるかもしれないが、個人的にはリヤスタイルがいい。
アベンシスの売り物は「ヨーロッパ仕込みの走り味」。英国で生産され、日本でも販売されるこのクルマの走りのテイストは、確かにこれまでのトヨタ車のそれとは一線を画した“硬派”さだ。