合理的に考えたら、かなりダメーなコンパクトカーだよね。走りもイマイチだけど、スペースユーティリティが国産ライバルとは比較にならないほどダメだから。
じつに日本人の好みをついている。まさにトヨタ流の戦略。これ買っておけば、少なくとも典型的な日本のファミリーは満足でしょ、というコンセプトなのだ。
『ムラーノ』のネーミングは、イタリアはベネチア沖にある島の名に由来しているという。もっともベースは北米専用車。彼の地での好評を受け、日本への導入が企画されたのだ。
最新BMW車らしく見た目はちょっとばかりヘンだが(?)、乗るとビックリの快感マシーン! 2シータースポーツの『Z4』以上に“人とクルマの一体感”が色濃く、まさに「クルマを着る感じ」の自在なドライビングフィールを味わわせてくれる。
インテリアデザインも、まさに若い女性が好みそうな自分の部屋感覚。助手席シートバック背後に内蔵式の世界初(?)のティッシュボックス入れなど、至れり尽せりの収納スペース……
従来のパンダとは“似ずに非なり”ではあるが、コンパクトサイズゆえの扱いやすさという点のみには何とか共通項が見出せる。
ルックス勝負! という割り切りのコンセプトゆえか、走りのテイストは平凡かつちょっと退屈。
このところのトヨタの“ブランド乱造ぶり”にはちょっと辟易とするものがあるけれど、これはパッケージング的にはなかなか興味をそそられる一台。
パーソナルなパッセンジャーカーとしては「ナンボなんでも大き過ぎる」という印象。ライバル『Eクラス』と『5シリーズ』の「次のモデルチェンジまでを見据えて大型化した」というが、いったいドイツ勢はどこまでクルマを大きくすれば気がすむのか!?
一連の“無印良品”的ラインナップの例に漏れず、このクルマもまさに「道具としてはそれなりだけど、個性や趣味性はさっぱりね…」という一台。