『A4』だけではないが、アウデイというクルマを見た目だけで云々することはきわめて難しい作業だ。それは、水晶玉の優劣を論ずる様なものだからだ。
『A4』の目玉は、なんと言っても前後重量配分を理想値に近付けるためにフロントアクスルの位置を変更した新プラットフォームの存在。
『A4』を名乗るようになって早くも4世代目になる現行モデルがデビューしたとき、僕はそれに素直に賛同できない気分だった。
試乗したのは「1.8TFSI」で駆動方式はFFである。いわゆるベーシックモデルといわれるスペックだ。
1.8リットルターボとV6の3.2リットルという両極端のエンジンをラインナップしているが、動力性能は1.8のFF車で十分。軽快感がある。
シトロエン独特の雲の上の絨毯のような乗り心地が、この『C5』にも完全に受け継がれているのがシトロエンファンにとっては嬉しい限りだ。
アウディの質感の高さ、精緻な創り込みはエクステリアもインテリアも世界最高のレベルだ。友人を乗せたときに自慢できる大きなポイントになる。今回のモデルチェンジではハンドリング性能もその質感に負けないレベルに向上した。
新型アウディ『A4』は一言で言うと傑作だ。細かく見ると気になるところもあるけど、総体的に非常によく出来ている、魅力的なクルマである。最近のアウディはドイツ車の中で一番ドイツらしいブランドである。
新型『C5』は旧型とエラい違い。製造品質や完成度がかなり上がったセダンにしてもワゴンにしても、どっちも業界の傑作だと思う。フランス流のデザインの華やかさと、上品なテイストの抜群な融合を高く評価したい。
どの角度から見ても、新『A4』はとにかくハンサムで頭良さそうに見える。美しくまとまったスタリングを採用しながら、今回のモデルはシャシー剛性の向上とサスのチューニングのおかげで、ハンドリングや乗り心地がだいぶ進化した。