1968年から1981年。当時のクルマとしては比較的長寿といわれたいすゞ『117クーペ』。その中で1977年12月から1981年5月までの3年5か月ほど、後継車だった『ピアッツァ』にバトンを託す直前まで、カタログモデルだったのが“角目”だった。

何を隠そう筆者は当時、角目の登場を知り直前に駆け込みで丸目の117クーペのオーナーになっていた。なので“角目”の117クーペへの第一印象には、かなり拒否反応に近いものがあった。いったい誰がこんな風にしたんだ!との思いで実車を見ていた記憶がある。が、今見直すと「これもアリだったのかな」と思うようになったのは、時が経ったせいか、少しだけ大人になったせいか……。

今回取り上げるのはか、角目になり2リットルエンジンを搭載した☆☆(スターシリーズ)が登場した時のもの。この時のカタログのトップを飾っていたのが“giugiaro”の名が与えられたモデルで、ご覧のとおりのブラックのボディに、オレンジのストライプ、185/70HR13サイズのピレリCN36スチールラジアルタイヤを装着。

ジウジアーロがデザインしたという内装は、ご覧のとおりで、カタログの文面によれば“銘車BMWにも採用されている西独・フロックヤーン糸を使用したファブリックに、なめし皮をバイアスに配した、モダーンなシートとドアトリム”とある。

ちなみに角目の117クーペは、外観ではバンパーがメッキ/ラバー/黒塗りのスチールを組み合わせたものとなったほか、チルト&スライドサンルーフ(XC-J)、リヤワイパー(XG)も設定があった。

インテリアではインパネのデザインが一新されたが、ステッキタイプの駐車ブレーキ、センターコンソールのパワーウインドゥスイッチはそのままだった。丸目オーナーの当時の筆者にとっては、パワーステアリングが唯一、羨ましい装備だった。