世界最大! パナソニック「48インチ後席ディスプレイ」がレクサス『LM』に採用

レクサス『LM“EXECTIVE”』に搭載された「後席48インチディスプレイシステム」
  • レクサス『LM“EXECTIVE”』に搭載された「後席48インチディスプレイシステム」
  • レクサス『LM“EXECTIVE”』
  • 「後席48インチディスプレイシステム」の説明会
  • 中央1画面モード
  • 2画面同時表示モード
  • 2画面同時表示モード
  • 上下の黒帯をカットしてワイド表示して映し出すシネマモード
  • Android端末の表示を展開できるMiracastへも対応する

パナソニックオートモーティブシステムズは12月13日、トヨタ自動車のレクサスLM“EXECUTIVE”』に同社製「後席48インチディスプレイシステム」が採用されたと発表し、その具体的な仕様について説明会を実施した。


◆超横長32:9のディスプレイ上で多彩な映像ソースを展開可能

LMに搭載された後席ディスプレイシステムは、リアシートに座る乗員が楽しむためのエンタテイメントシステムとして開発された。FM/AMラジオやTVを含む多彩な映像ソースを再生できるよう、HDMI端子やWi-Fi接続によるパソコンやモバイル端末との接続に対応。これによって移動時の車室内の快適性向上に貢献することを特徴としている。

48インチディスプレイは、純正の後席ディスプレイとしては世界最大となるサイズで、縦横比16:9の26インチディスプレイ2枚分に相当する超横長の32:9とした。解像度は3840×1080pのフルHD仕様で、4K信号の入力に対しては自動的にダウンコンバートして再生できる。視野角が広いIPS液晶パネルを採用し、コントラスト比は800:1以上、最大輝度は300カンデラ。表面はアンチグレアとすることで反射にも配慮している。

この大きさを活かした多彩な表示方法を用意しているのも特徴だ。映画などを見るのに最適な1画面シネマモードをはじめ、TV放送の視聴に都合が良い中央1画面モード、オンライン会議に便利な2画面同時表示モードが選択可能。特にオンライン会議での2画面表示に対応できるようHDMI端子を2つ装備。左右2画面はシートのアームレスト部に備えられたリモコンによって画面入れ替えが可能となっている。また、AppleのAirPlayには非対応であるものの、アンドロイド端末からはMiracastによるワイヤレス接続に対応しているのも見逃せない。

48インチディスプレイの背面。真ん中に山折りするためのスリットが入っているのがわかる48インチディスプレイの背面。真ん中に山折りするためのスリットが入っているのがわかる

◆ベゼルを狭額縁化して没入感を堪能できる“Pillar to Pillar”を実現

ディスプレイが車内の左側面から右側面までカバーする “Pillar to Pillar” となっているのも大きな特徴だ。この実現に必要となったのが狭額縁化で、そのために液晶開発の専門チームも結成し、液晶パネルの構造自体から見直して開発を行ったという。その結果、採用されたのがバックライトを収納するベゼルをダイキャストによる高強度の部品への変更だ。これにより、筐体全体の剛性アップと共にベゼルの狭額縁化(従来72mm→42mm)が可能となり、左右いっぱいに映像が広がる没入感も堪能できるようになった。

よく考えられていると思ったのが、ディスプレイの上から前方が見通せるように隙間が設けられていることだ。実はこれがあることで車酔いが低減できるのではないかと思ったのだ。カスタム仕様でよく見かけるのが前方を塞ぐほどまで大画面化していること。これだと停止中は問題ないのだが、一旦走り出すと周囲がまったく見えない状態で画面を見せられるため、一気に車酔いが進んでしまいがちとなる。その意味でも、この超横長のディスプレイの採用は正解だったと言えるのではないだろうか。

ただ、“Pillar to Pillar” としたことで新たな課題も浮かび上がってきた。それは、万一、側突を受けた場合に車体に変形が生じるとディスプレイへの影響が避けられず、場合によってはディスプレイの破損によって乗員へのダメージを与えかねないということだ。そこでダイキャストで作られた高強度のボディが効果を発揮する。左右からの衝撃によってディスプレイに変形が生じた場合は、このダイキャストボディが前方へ強制的に山折りして対応するのだ。一方でディスプレイの表面にはフィルムが貼ってあり、内部でガラスが粉々になっても飛散することはほとんどないレベルに仕上がっているそうだ。

◆「CCPM」の採用で機能実装+評価のリードタイムを大幅短縮

この後席48インチディスプレイシステムはトヨタ車体との共同開発により実現したものだが、当初は26インチで開発が進められていたという。しかし、途中でトヨタ側から48インチへ仕様変更する要望があり、急遽設計を変更。発表までの期間も迫っていたことから、CCPM(Critical Chain Project Management)という開発手法を採用して対応した。この結果、従来なら機能実装+評価のリードタイムが14.5か月はかかるはずが、12か月と2.5か月(18%)もの短縮が可能になったという。

この日、説明のために登壇したHMIシステムズ事業部 ディスプレイビジネスユニット 第一商品部 部長 神戸祐一氏によると、「後席ディスプレイシステムに関わる歴史は1997年にトヨタ・グランビアに純正採用されのが最初だそうで、以来、現在まで豊富な経験と技術力を積み、その車載搭載技術と大画面液晶技術が評価されたものと考えている」と説明。当面はトヨタ以外に展開する予定はないものの、この技術を活かした提案をカーメーカーに働きかけ、安全・安心で快適な移動時間の実現に貢献していく考えを示した。

《会田肇》

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