【VW ゴルフヴァリアント 新型試乗】日本にジャストフィットするワゴンの鑑…中村孝仁

VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)
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全長×全幅×全高=4640×1790×1485mm。個人的な意見だがこのサイズ、日本で使うには最も「ほどほど感」を醸し出している気がする。このサイズのモデル、VW『ゴルフヴァリアント』である。

実はハッチバックよりも全長で345mm長く、全高で10mm高い。しかし、先代と比べた時全幅は10mm狭くなり、逆に全長は65mmも長くなっているのだ。それだけではない。歴代ヴァリアント史上初めてホイールベースがハッチバックと異なるモデルとなり、ホイールベース2670mmはハッチバックよりも50mmも長いのだ。

このサイズ感。果たして開発段階で日本市場が考慮されたとは思えないのだが、どう考えても日本市場へのジャストフィット感が強い。

僅か10mmされど10mmの意味は大きい

VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)
まず全幅を狭めたこと。最近は駐車スペースの白線が幅広になっていることを少しだけ実感するが、そうは言ってもまだまだ幅の広いクルマだと手を焼くことが多い。同じCセグメントでもライバルは1800mmを超えるものが多く、僅か10mmされど10mmの意味は大きい。

そしてホイールベースの延長も大きな意味を持ち、今回はそのすべてを後席レッグスペースとラゲッジスペース拡大に充て、レッグスペースでは+38mm。ラゲッジは通常時で+6リットル、リアシート折りたたみ時には+22リットルの容量を確保した。どんなもんかと後席に座ってみたが、なるほど広い。最近の軽自動車の後席に乗った時の広さ感を感じた。

VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)
SUVというジャンルが人気なことはご存知の通り。だからワゴンはその市場が食われ、特に北米メーカーはワゴン市場から撤退してしまっている。つまり同じようなユーティリティーを持つならワゴンよりもSUVというわけだ。だが、確かにSUVはその視認性の高さや乗降のしやすさなどメリットもあるが、とにかく見た目に大きい。車種にもよるがラゲッジスペースは高さがあり過ぎて重いものを載せたい時などは苦労する。

その昔、もし2台クルマが持てるのならチョイスするのはワゴンとロードスターだという話を書いたことがあるが、今クルマを選ぶとしてもこのチョイスは変わらない。ワゴンはこれまで4台自己所有したことがあるが、今も最良のファミリーカーだと信じて疑わない。ただ、今は手ごろなサイズ感のモデルが中々存在しない。新しいゴルフヴァリアントのサイズを見た時、これこそベストなサイズではないかと感じたわけである。

伸びたホイールベースの恩恵

VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)
ボディが少し大きい分、ハッチバックよりこの「アクティブ」比で50kg重い(ちなみに「スタイル」だと70kg重くなる)。パフォーマンスに関してハッチバックの時に感じた、下はいいけど上では少し力不足の印象が多少悪くなるかと心配したのだが、何故か性能的なマイナス要素は肌感ではゼロだった。

むしろ伸びたホイールベースの恩恵か、乗り心地とフラット感の高さは向上しており、ゴルフと名の付くモデルが欲しくて、かつ4640mmの全長のクルマが物理的に入る駐車場を有しているなら、ヴァリアントの方が使い勝手的に優れることは間違いないし、快適さの面でもこちらがお勧めである。

実際に入れたわけではないし、またゴルフという名前だからではないが、ゴルフバックだってラゲッジスペース最後部に真横にしていれることは間違いなく可能。一番シート寄りの部分で横幅10cm。最後部は左右に抉りがあり、ゴルフバックはドライバーを入れても長さで12cm強だから、間違いなく入るというわけだ。

VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)VW ゴルフヴァリアント 新型(eTSI アクティブ)

タッチ操作の多用は必ずしも賛成できず

メカニカルな部分はハッチバックと完全に共通である。アクティブは1リットル3気筒エンジンと7速乾式DSGの組み合わせ。実際に高速を走って踏み込んでみたが、パーシャルから一気に加速しても不都合は感じなかった。ADAS系の進化やデジタル化されたメーターパネルなどは今回の押しの部分で、カタログもそうしたあたりが積極的に紹介されている。

そしてタッチ操作が多くなったこともアナログ的なプッシュ/プルボタンに置き換わって幅を利かせているのだが、必ずしも賛成できないところがあった。

VW ゴルフ/ゴルフヴァリアント 新型のディスプレイ下にあるタッチパネルVW ゴルフ/ゴルフヴァリアント 新型のディスプレイ下にあるタッチパネル
それはダッシュボード中央のベンチレーター吹き出し口を挟んで、タッチ操作のパネルがある。中央がハザードスイッチでその周囲に4つの操作パネルがあるのだが、ベンチレーターの風向を変えようとすると、ほぼ毎回このパネルに触れてしまい。その都度中央のナビ用ディスプレイがエアコンディスプレイに変わってしまって、これには閉口した。はっきり言えば触れずに風向きを変えることはできないほどなので、この部分にタッチパネルがあるのは考え物だと思った。因みにハザードスイッチはプッシュ式である。

とまあ、大方の部分で新しいヴァリアントは旧型を大きく超えた進化を見せている印象を受けた。ルーフをなだらかに下らせたデザインでエモーショナルな雰囲気も醸し出し、単なる質実剛健とは違うぞと言わんばかりのスタイルもその進化の一端かもしれない。いずれにせよ新しいゴルフヴァリアントはワゴンの鑑である。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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