未来のモビリティ社会でのティア1に…デンソーのデジタルイノベーション戦略とは[オートモーティブワールド2019]

デンソー MaaS開発部長兼デジタルイノベーション室長 成迫剛志氏
  • デンソー MaaS開発部長兼デジタルイノベーション室長 成迫剛志氏
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  • デンソー MaaS開発部長兼デジタルイノベーション室長 成迫剛志氏
  • 自動駐車支援技術のイメージ ※参考画像
  • デンソーの歩行者ナビゲーション ※参考画像

スタートアップから学ぶ

MaaS(サービスとしての移動手段の提供)を巡り、自動車を始めとした様々な業種での動きが活発化している。デンソーの成迫剛志MaaS開発部長兼デジタルイノベーション室長は「デンソーは自動車業界のティア1だけではなく、未来のモビリティ社会におけるティア1になる」と言い切る。

「クルマの中でソフトウェアが価値を提供する部分は結構増えてきていて、その典型がADAS(先進運転支援システム)やAD(自動運転)といった領域だが、さらに未来のモビリティ社会を考えた時に、コネクティッドがベースになりながら、クラウド上でいろんなユーザー価値を提供するような世界になってくる」と成迫氏は語る。

さらに「そうなるとこれまでのようなクルマの中の部品=イン・カーばかりに注力しているのではなく、未来のモビリティ社会において、どちらかというとユーザー側にフォーカスをして、移動したいユーザーは何を求めているのかというところも含めて物事を考えていかなければいけない」とも指摘。

その上で「今、ネット上でいろんなサービスをしている会社がある。それが最近GAFAといわれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンであったり、また様々なスタートアップも生まれている。そういうところはある意味先行しているので、サービスとしての移動手段の提供というものを造っていかなければいけないとなると、そういった会社から学ぶべきことはいっぱいある。学ぶということは、学んで同じような体制を将来に対して構築していかなければいけないと思っている」と成迫氏は強調する。

デンソーからイノベーションを

そこで「そういう会社から学ぼうということで、シリコンバレーのスタートアップがどういう考え方で、どういうプロセスで新しいことを生み出しているかということを実際にみてみた」ところ、「ごく少人数で新しいアイディア、従来の延長線上ではなくユーザーにフォーカスした上で、破壊的なイノベーションを考え付いている。しかも考え付いたら、それをすぐに造ってみる。手っ取り早く、安く造るだけでなく、最終形を考えて造るという、今までの日本のモノ造りの考え方とは正反対なやり方をしている」ことがわかったという。

さらに「造りながら考えるということではアジャイル開発というやり方をやっている。デザインシンキングやオープンソースを駆使して、クラウドネイティブでやる、しかも内製によるアジャイルソフトウェア開発の3点セットを自分で持たないとシリコンバレーのスタートアップのような新しいサービスを生み出すことはできない。すなわち未来のモビリティ社会における新しいサービス、イノベーションを興すことはできない」という結論に至ったと成迫氏は明かす。

このため「デンソーの中に、そういうイノベーションを起こす、新しいサービスを生み出すための新しい組織、しかも特定の組織が何か新しいことを生み出すというよりは、全社でいろんなことをやるためのイノベーションを興すための手足となるような部隊が必要ということで、デジタルイノベーション室と名付けたイノベーション創出の手足となるような組織を造った。そのお手本がシリコンバレーまたは中国・深センのスタートアップだった」という。

「自ら造りながら考える」ための体制づくり


デジタルイノベーション室は2017年4月の発足当初からデンソーの本社がある愛知県刈谷市ではなく、東海道新幹線新横浜駅すぐそばのビルに拠点を構えている。「シリコンバレー流の開発チームを造るために、まずどんな人材が必要かというと、自分でソフトウェアが書ける人。それも請負のソフトウェアを造るといったものではなく、新しいビジネスを造るための新しいソフトウェアを自ら書ける人。多能工的なフルスタックエンジニアを集めなければいけない。そうなるとなかなかやはり地方では集められなくて、首都圏でなければ難しい」と、成迫氏は新横浜を選んだ理由を語る。

さらに「やりながら考える、とにかく造ってしまう。造ってこれは良いとなると、そこから品質を造りこむ形なので、プロセスが全然違う。また文化も違っていて、考える人、設計する人、造る人が全部別れていて、さらに品質保証、品質監査する人もいるといった従来のような形ではなく、チーム単位で新しいものを生み出すことをやっていかなければいけない」とも。

こうした背景から2017年4月に発足したデジタルイノベーション室は「当初は10人くらいのシリコンバレーのスタートアップと同じような体制で最初の開発を始めた。これまでデンソーではできないので外に出していたようなソフトウェア開発を、我々のチームがやった方が早いだけではなく、自分たちで造りながら考えることができるということで、社内からいろいろな依頼されるようになった。依頼主である各事業部のメンバーと我々のチームが合同で、ひとつのスタートアップみたいなチームを造り、それがイコール開発チームになる。今は全部で8チーム、総勢で50名くらいの体制になっている」という。

メンバーは「デジタルイノベーション室で働きたいという人を社内公募で20名、残りの30名はキャリア採用でデンソーに入りたいというよりは、こういうテーマでやりたいという人たちが集まっている」という陣容で構成されている。

「オートモーティブワールド」で講演

そのデジタルイノベーション室を率いる成迫氏がデンソーに入社したのは実はわずか2年ほど前。それまでは「IT分野、とくにインターネットやクラウドなど」いわゆるネット系での経験が長く、「クルマは全然知らなかった」とか。しかし「自動車業界も今変わりつつあり、これまでの経歴でやってきたクラウドとかインターネット、オープンソフトウェアといった世界が、モビリティ業界を変えるような起爆剤になりそう、貢献できそうということでデンソーに移った」と成迫氏は入社の経緯を明かす。

「スタートアップでやっているような組織をデンソーの中に造らなければいけないということデジタルイノベーション室を立ち上げた。ネット系のスタートアップで普通にやっていることを、やれば良いというイメージ」と語る成迫氏は、2019年1月16日から東京ビッグサイトで開催される「第11回オートモーティブワールド」の2日目(1月17日)の特別講演『先駆者が語る!未来を創るイノベーションの起こし方』に登壇し、「MaaS時代のデジタルイノベーションへの対応するテクノロジーと文化」をテーマに語る。

■本講演の詳細は
https://reed-speaker.jp/Conference/201901/tokyo/top/?id=AUTO&lang=jp#AUTO-1

■第11回オートモーティブワールド
自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など、自動車業界における重要なテーマの最新技術が1120社出展する世界最大の自動車技術展。「国際カーエレクトロニクス技術展」「EV・HEV駆動システム技術展」「クルマの軽量化技術展」「コネクティッド・カーEXPO」「自動車部品・加工EXPO」「自動運転EXPO」の6つの展示会を開催する。また業界の第一人者たちが講演するオートモーティブワールドセミナーも注目を集めている。

■展示会のご入場には招待券が必要です。招待券請求(無料)受付中!
※招待券の事前登録により、入場料(5,000円)が無料になります。
https://www.automotiveworld.jp/inv/

会期:2019年1月16日(水)~18日(金)10:00~18:00 (最終日のみ17:00まで)
会場:東京ビッグサイト
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
■第11回オートモーティブワールド 詳細はコチラ!

Sponsored by リード エグジビション ジャパン

《小松哲也》

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