【アバルト 124 スパイダー 試乗】これぞ真骨頂!この高揚感、刺激はまさに“サソリの毒”

試乗記 輸入車
アバルト 124 スパイダー
  • アバルト 124 スパイダー
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  • アバルト 124 スパイダー 岡本幸一郎氏
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  • アバルト 124 スパイダー 直列4気筒マルチエア 16バルブ インタークーラー付ターボエンジン(170ps /25.5kgm)
  • アバルト 124 スパイダー 6速マニュアルトランスミッション
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◆日本導入から2年 その異彩は普遍なり

往年の名車「フィアット 124 スパイダー」が現代に蘇ったことは、クルマに興味のある人ならすでにご存知だろう。目の肥えた人の多い日本市場に向けては、あえて高性能バージョンのアバルト版のみを導入。

発売以降、小粋なスポーツモデルとして人気を博しているこのクルマが日本で生産されていることも周知のとおりだが、スタイリングデザイン、パワートレイン、サスペンション等はFCAの独自開発となり、各部がアバルト専用に味付けされている。

今回は、個性的なメタリックブルーのボディカラーをまとい、レザーシート/ナビゲーションパッケージなどを特別装備した魅力的なモデルで、夏の軽井沢をクルージングしてみた。

◆アバルトらしい妖艶な雰囲気と高いクオリティ

往年のフィアット 124 スパイダーモチーフを随所に織り込んだエクステリアは、当時を知らない若い世代の人にも特別感を与えるものに違いない。

ロングノーズ&ロングデッキの伸びやかなプロポーションはもとより、先代モデルと共通となる六角形グリルを踏襲した印象的なフロントデザイン、そして絞り込みを抑えてワイド感を強調したリアビューなどが、小さなサイズながらも大きな存在感を放っている。ソフトトップを開けても閉じても絵になるところも124 スパイダーならでは。

コクピットのデザインも印象深いものだ。よく「オープンカーはインテリアもエクステリアの一部」などといわれるが、アバルトらしくちょっと妖艶な雰囲気と高いクオリティ感を見せている。各部に配された赤いステッチや、ステアリングホイールの赤い目印、赤いタコメーターなど、各部に配された鮮烈な赤のアクセントも目を引く。

横方向のリブが独特な本革/アルカンターラのコンビシートに収まると、いかにもスポーツカーらしい低めのドライビングポジションが心地よい。人間工学にもとづいて設計され、ペダル類やシフトノブ、ステアリングなどが理想的にレイアウトされているおかげで、座った瞬間からしっくりと身体になじむ。

ソフトトップの開閉は、ロックを解除して手動で行なうのだが、軽い力で操作可能で、運転席に座ったまま片手でラクに開閉できるので、いつでも気兼ねなくトップを開けてオープンエアドライブを楽しむことができる。

車内の収納スペースもこれだけあれば十分。任意に移設できるドリンクホルダーも重宝する。また、輸入車の右ハンドル仕様ながらウインカーのレバーが右側にあるので間違えずに済むのもありがたい。

◆このスペック 貴方は余すことなく引き出せるか?

アバルト 124 スパイダーには、走る前にすでに心惹かれる数々の魅力的なアイテムが与えられている。170psの最高出力と25.5kgmの最大トルクを発生するフィアット製“マルチエア”1.4リットル直列4気筒ターボエンジンは、イタリアから日本に輸送されて車両のフロントミッドに搭載される。

車両重量は1060kg~にすぎず、パワーウエイトレシオは6.2~kg/psと、コンパクトスポーツのカテゴリーに新たな基準を打ち立てるパワフルさを誇る。そのパワーをアバルトレーシングコルセチームと共同開発のトランスミッションが、余すところなく引き出してくれる。

ビルシュタイン製ダンパーを備えたシャシーはリアにトルクセンシングLSDを備え、フロントブレーキにはブレンボ製4ポット対向キャリパーが与えられている。これら“名門”と呼ばれるブランドの逸品の数々が標準で装備されるのも、アバルト 124 スパイダーならではである。

さらには、コーナリング性能を向上するため、重量の大きいコンポーネントはすべてホイールベースの内側に配置してヨー慣性モーメントを抑えており、ほぼ50:50の理想的な前後重量配分を実現していることも特筆できる。

◆まさに病みつき。これがアバルトの真骨頂

アクセルを踏み込むといつでも、いかにもハイパワー志向のエンジンらしいパンチの効いた加速を味わうことができる。ツインデュアルエキゾーストパイプから放たれる野太いサウンドも痛快この上ない。これぞアバルトの真骨頂。ひとたび知ってしまうとやみつきになりそうだ。オープンにすると、その迫力あるサウンドをよりダイレクトに味わうことができるのもアバルト 124 スパイダーならでは。カチッとした節度感のあるMTのシフトフィールも申し分なく、シフトチェンジすること自体も楽しみになる。

俊敏な応答性と高速域でのスタビリティを巧みに両立したハンドリングと併せて、強力なトラクションを発揮するトルクセンシングLSDのおかげで、アクセルワークを駆使して車両の挙動を積極的にコントロールしていけるのもうれしい。強力な動力性能に相応しい十分なキャパシティを確保したブレンボ製ブレーキもあるので、なんら不安はない。

◆この高揚感は他に思い当たらない

異色の成り立ちを持つアバルト 124 スパイダーは見ても乗っても、すべてにおいて特別感のある、世の中に数あるスポーツカーの中でも異彩を放つ存在であることが、実車に触れるとよくわかる。

あたかもアバルトのロゴであるサソリの毒のごとき刺激的な味わいを、街乗りからワインディングまで、ドライブしている間ずっと体感できることこそ、このクルマに乗る醍醐味に違いない。加えてそれをオープンエアドライブの楽しさとともに味わえることも、あらためて念を押しておこう。

さらには、これほど充実した内容ながら、MT車で車両価格が400万円を切るコストパフォーマンスの高さも魅力に違いない。この価格帯でこれほど高揚した気持ちにさせてくれるクルマというのは他に思い当たらない。

◆日本導入から2年を迎える記念の限定車が登場


岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
《岡本幸一郎》

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