【トヨタ ランドクルーザープラド 試乗】快適クルーザーまで、あと一歩…内田俊一

試乗記 国産車

トヨタ ランドクルーザープラド TZ-G
  • トヨタ ランドクルーザープラド TZ-G
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トヨタ『ランドクルーザープラド』を800kmほどテストしてみた結果、腰高感のないしっかりとした乗り味を感じる一方、2.3tに達するボディの重さに対するトルク不足を感じる結果となった。

テストに借り出したのは「TZ-G」グレード。3列シートの7人乗り仕様で、エンジンは1GD-FTVという4気筒2.8リットルディーゼルインタークーラーターボを搭載。最高出力は177ps/3400rpm、最大トルクは450Nm/1600~2400rpmを発揮。6速ATとフルタイム4WDが組み合わされ、2320kgのボディを走らせている。

今回のテストは広報車両を用い、一般道のみで行った。本来ランクルの実力を測るには、悪路を走破する必要があるのだが、今回は借用している関係でそこまで踏み込んだテストが行えなかったことをお詫びしておきたい。

◆ひと昔前のインテリア

しっかりとしたドアを開け室内に乗り込むと、ベージュを基調とした明るく好印象のインテリアが広がっている。一方そのデザインは一昔前のもので、センターパネルはそそり立ち、その周辺の加飾も古臭い。何よりスイッチ類が多く、一目で何がどこにあるのかの判別は不可能だった。上から順にナビオーディオ、空調、駆動関係と分類はされているが、なぜか空調関係スイッチの右端にハザードボタンが配されているのは解せない。急な操作が必要な場合が多いこのボタンは出来れば独立させ、助手席からも操作出来るようセンター上部にあるエアコンのアウトレットあたりにあると便利であろう。

そんなことを気にしながらエンジンをスタートし、走り始めた第一印象はクルマが「とても重い」ということだった。これはアクセルレスポンスが若干鈍いということも考慮に入れなければいけない(ただし、クルマの性格上、過敏よりははるかに良い)が、後述する高速道路において、このトルク不足の印象は顕著だった。特に積極的に走ろうと思うと、2500rpm以上エンジンを回さなければパワーが出てこない印象で、数字以上に非力に感じた。

乗り心地はとてもよく、エンジンノイズや振動は若干気になるものの、腰高感や突き上げなどはあまり感じられなかった点は優秀であろう。

◆高速走行時にトルクの細さが露呈

SUVでの高速移動は足回りがしっかりしていないと、横風に影響されたり、コーナーなどで腰高に感じて不安を抱いてしまうことがあるが、このプラドに限っていえば全くそういうことはなく、快適に移動することが出来た。そこに大きく影響しているのが、KDSS(Kinetic Dynamic Suspension System)だ。

これは、路面状況に応じてスタビライザーの効力をコントロールさせることが出来るシステム。例えば舗装路を走る際には、コーナーリング時等における車両の傾きを抑制して、安定した走りを実現し、オフロードのような荒れた路面ではホイールストロークを確保してタイヤを路面から浮きにくくすることで、すぐれた走破性を確保する。そこに加えて、今回のテスト車にはオプションのNAVI・AI-AVS(Adaptive Variable Suspension System)が装備されていた。ショックアブソーバーの減衰力を走行状況に応じて電子制御で最適化する。さらに、ナビゲーションのデータを活かし、進行方向のコーナーの状況を解析して、サスペンションの減衰力を自動制御するものだ。これらの統合制御としっかりとした足回りにより、ロールが少なく安定した走行を実現しているのだ。

乗り心地そのものは若干固めで、ふわついた印象は全くなくフラットだ。ステアリングも適度な重さで、路面からのフィードバックも適切なのだが、いかんせんトルクが細いのが残念。例えば川崎と木更津を結ぶアクアラインを千葉方面に向かい、海ほたるのあたりの上り坂では、4速と5速が行ったり来たりしながら、アクセル開度を半分以上開けないと登らない。これではせっかくの快適なツアラーも台無しになってしまう。低回転でのトルクを太くするなどの改良を望みたい。

◆使い勝手は良好ながら…

テールゲートのウインドウ部分は上に上がり、パネル部分は横開きになるので使い勝手は非常に良い。特に女性は跳ね上がるより横開きの方が使いやすいだろう。また、そこから3列目のシートを電動で格納出来るのも便利だ。しかし、2列目のシートは手動でかつ操作がとても重いのが難点だ。このあたりのノウハウはミニバンなどで蓄積されているはずなので、ぜひ応用してもらいたい。

最後に燃費だが、市街地で9km/リットル、高速で13km/リットルほどであった。ただし一度、1時間ほど渋滞に巻き込まれたことがあったが、その際は最終的に3km/リットル台まで低下してしまった。この点はアイドルストップのない仕様の弱点といえるだろう。

基本設計が少々古いことが随所から感じられるが、KDSSやNAVI・AI-AVSの制御は非常に緻密で違和感は全くなかったので、快適な走行フィーリングを得ることが出来た。そこでやはり再三述べてきたトルクの細さが非常に気になる。ここさえクリア出来れば、かなり快適なクルーザーに仕上がることだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

内田俊一(うちだしゅんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラと同じくルノー10。
《内田俊一》

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