軽いし、パワーがあるし、自在に操れる。モトクロスで勝つことを目標に開発されたスズキの競技用モデル『RM-Z250』だ。コーナーではカウンター走行も思うがままで、旋回性の高さが感じられる。ハンドリングが軽く、狙ったラインを外さない。スリッピーな土質でもトラクションがしっかりかかり、アクセルをどんどん開けていけるのだ。ジャンプが続く立体セクションも衝撃をしっかり吸収してくれる高性能なサスペンションがあり、スロットルレスポンスの鋭いエンジンでグイグイ前へ突き進む。全域でパワフルで、中高回転での伸びも凄まじいものがある。コンペティションモデルならではの装備もある。それは「スズキ ホールショット アシスト コントロール(S-HAC)」。スタートでライバルより前に出るための電子制御装置である。スズキではスタート時の状況を、3つのステージに分けて考えている。まず、スタートゲートが降り車体が動き出す瞬間。そしてマシンが発進し、スタートゲートを越えるとき。さらに、その後の加速時だ。S-HACではそれぞれの段階で、求められるエンジン特性に対して点火時期を最適化し、確実に路面を捉える有効なトラクションを生み出す。2種類のモードとOFFがハンドルバー左側に備わるスイッチで選べ、Aモードは滑りやすい路面のとき、Bモードはトラクションがいいときに設定すればいい。S-HAC介入なしのOFFを含め、それぞれをドライコンディションで試したが、Bモードはドーンとトルクが出て気持ちのいい加速が感じられるが、後輪は若干暴れてしまう。Aモードはジワーッとパワーが出て駆動輪が滑ることなくしっかり加速していく。OFFだとスリップの連続で、アクセルを大きく開ける時間が減ってしまった。実際にBモードとAモード、どちらが速いのかは分からないし状況次第なので優越はつけられない。ただし、どちらかを選べるというのは大きな武器。横一線でスタートするモトクロスで、ライバルより前へ出ることができればレースを有利に進められるのは言うまでもなく、ホールショットデパイスは各メーカーがこぞって採用する装置だが、スズキRM-Zは特にこだわっていることがテストライドでよく分かった。一部プロライダーだけでなく、一般ユーザーも思いきってアクセルをワイドオープンでき、ホールショットが奪えるようにつくられているのだ。日本人の体格だとジャストサイズと言われる250ccモトクロッサー。スズキの技術力が集結した『RM-Z250』は戦闘力抜群なうえ、モトクロスライディングがますます楽しく思えるからユーザーフレンドリーで高く評価できる。レースに挑むだけでなく、休日にファンライドを楽しむ層にもオススメしたい。■5つ星評価パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★デザイン:★★★★始動性:★★★★オススメ度:★★★★★青木タカオ|モーターサイクルジャーナリストバイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
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