普通2輪免許で乗れるドゥカティは、『モンスター400』以来じつに8年ぶり。排気量398ccの空冷L型2気筒エンジンを搭載する『スクランブラー SIXTY2』だ。見た感じ、803ccの兄貴分『スクランブラー』と車格的にもデザインもさほど変わらない。倒立フォークが正立式になっていたり、ブレーキキャリパーが4ピストンラジアルからシンプルな片押し2ピストンになっていてリアタイヤが1サイズ細いなどなど、ディテールに目を向けると弟分であることがわかるが、全体的にはクォリティが落ちて安っぽいというようなことはない。エンジンも充分に力強く、排気量が半減してつまらないといったことはなく、過激だったスロットルレスポンスがマイルドになってビギナーにも扱いやすい。右手の操作にもたつくことなくトルクを発揮し、キビキビした走りが楽しめる。ハンドリングも軽快でクセがない。下半身で車体をしっかりホールドすれば、ハンドルへの入力は無用。トレッドパターンだからといってタイヤのロードノイズが気になるわけでもないし、グリップに安定感がないわけでもなく、一般的なネイキッドスポーツのごとく、じつにスムーズにコーナーを駆け抜けていく。扱いやすく、気負わずに乗れるイージーライドの楽しさが際立つキャラクターのなかにスポーティさもしっかりあって、さすがはレーシングスピリット宿るドゥカティのオートバイ。ビギナーはもちろん、上級者にもオススメしたい。■5つ星評価パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★★コンフォート:★★★足着き:★★★★オススメ度:★★★★★青木タカオ|モーターサイクルジャーナリストバイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。