【ホンダ クラリティ FC 試乗】ミラクルなパッケージングだが、走りにもホンダらしさほしい…諸星陽一

試乗記 国産車

ホンダ クラリティ フューエル セル
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2002年の『FCX』、2008年の『FCXクラリティ』に続くホンダの燃料電池モデルとして登場したのが『クラリティ フューエル セル(FC)』。従来同様リースでの販売となる。

クラリティ フューエル セルは水素を燃料とする燃料電池車で、新設計のプラットフォームを用いてパッケージングされる。高圧の水素タンクは大小2つで、大をトランクルーム前方下部、小をリヤシート下に収納する。バッテリーはリチウムイオンでフロントシート下に収められる。

注目なのは燃料電池スタック、FC昇圧コンバーター、モーター、ギヤボックス、水素供給システム、空気供給システムといった装置のすべてをボンネット下に収めたこと。結果として5名乗車を可能とした。パッケージングの素晴らしさはさすがホンダだ。このパッケージングを実現するために燃料電池スタックの小型化、モーター&ギヤボックスは90度傾斜するなどしている。結果として3.5リットルV6エンジンとほぼ同一のサイズを実現。将来的には同じプラットフォームでエンジン車と燃料電池車の両方を成立させることができるようにすることを目標としている。

燃料電池車は、燃料電池という装置で燃料(クラリティ フュエル セルの場合は水素)を化学反応(燃焼ではない)させて電気を発生させ、その電気でモーターを駆動するもの。モーターの出力は177馬力/300Nm。トヨタの『MIRAI(ミライ)』は154馬力/335Nmなので、クラリティ フューエル セルのほうが少し控え目な数値となっていることになる。

ミライもそうだったのだが、クラリティ フューエル セルはじつに普通の走りをする。基本、電気自動車なので発進時は力強い。しかし、『リーフ』などの充電式EVと比べると発進時のトルク感は弱い感じがする。大きなバッテリーから“ドカン”とモーターに電流を流せるピュアEVと、バッテリーを備えているとはいえメインの電流は燃料電池からやってくる燃料電池車との違いなのだろう。

ミライでは普通の走りを歓迎できた。だが、クラリティ フューエル セルではその走りに不満が募った。この違いは何だろう? まずホンダというブランドで出すからには…というのがある。さらに、スタイリングがスポーティでスタイリッシュなのだから…ということもある。1535mmというミライの全高に対しクラリティ フューエル セルは1480mmと55mmも低いのだから、やっぱり期待してしまうのはしかたない。

運転席でドライビングしているとハンドリングには不満は感じない。重量のかさばるリチウムイオンバッテリーを床下に配置したことでクルマ全体としての重心が下がり、それがハンドリングをよくしている。シャープさえ感じるくらいで、このあたりはさすがホンダ。ファンな走りを忘れてはいない。

エンジンが存在しないので基本的に静かなクルマとなるが、そのせいでさまざまな音が目立つ。とくに気になるのがタイヤノイズ。タイヤはブリヂストンの「ECOPIA EP160」でサイズは235/45R18。指定空気圧は250kpa。速度が上がるにしたがって、“ゴー”といった音が目立つ。じつは段差越えのときにもタイヤが固い印象があった。燃費面では有利な選択かもしれないが、車格を考えたらもう少し静粛性や乗り心地のいいもののほうがマッチングがよさそうだ。

タイヤノイズなどが気になるのは運転席や助手席よりもリヤシートだった。セダンのリヤシートとしてはもう少し静粛性がほしい。また、リヤシートは細かな上下動を感じることも多く、乗り心地という面でも今一歩であった。

クラリティ フューエル セルはさまざまな安全機構を備える。レーンキープアシストの警告は多くの国産車が警告音であるが、クラリティ フュエル セルはステアリングを振動させるタイプ。ドライバーだけが気をつければいいことはドライバーだけに知らせればよく、このステアリング振動式は大歓迎。また、左にウインカーを作動させた際にセンターモニターに左後方をモニターする機構も備えている。左ドアミラーを確認する際に自然とモニター画面も目に入る位置にあり、ドアにモニターを付けてる車種などよりずっと高い安全性を確保している印象を受けた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
《諸星陽一》

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