【プジョー 308 GTi 試乗】操る実感が味わえる、真のホットハッチ…森口将之

試乗記 輸入車
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プジョー 308GTi by プジョースポール
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1980年代からプジョーのスポーツモデルの称号として親しまれてきた「GTi」が、最近になって新たなステージに入った。プジョー直系のモータースポーツ部門、プジョースポールがチューニングを手掛けた高性能版が登場したのだ。

我が国へはまず、『RCZ』と『208GTi』の限定車として上陸し、続いて『208GTi by プジョースポール』が、昨年10月の新型『208』の発売と同時にカタログモデルとして登場。そして今年2月、ここで紹介する『308GTi by プジョースポール』が追加された。現行『308』初のスポーツモデルでもある。

特筆すべきは「250」と「270」、2つのバリエーションが用意されていることだ。数字は最高出力を示している。どちらもエンジンは1.6リットル直列4気筒ターボで、トランスミッションは3ペダルの6速MT、ハンドル位置は左というところまでは両車共通だが、シートやホイール/タイヤなどで差別化を図っている。

特設コースで最初に乗ったのはGTi250。ボディはグリル、バンパー、サイドスカート、2本出しマフラーなどの専用パーツをおごっているけれど、派手な演出はない。イメージカラーの赤をインパネやシートなどのステッチに留めたインテリアも同様。シートの形状も他の308と共通だ。大人っぽい。

1.6リットルターボで250psというと、扱いにくさが懸念されるけれど、実際はトルクの盛り上がりがなだらかで、レスポンスに遅れはなく、自然そのものだ。フルスロットルでは強烈なダッシュを示すのだが、反応がリニアなので安心して踏めるし、回す楽しさも味わえる。これを操るのが、輸入車でも少数派になった3ペダルの6速MT。ストロークは短くタッチは確実。それ以上に自分の意志で回転域を選び、速さにつなげていくことが楽しい。シフトレバー手前のスイッチでスポーツモードを選ぶと、メーターの色が白から赤に変わり、過給圧などがバーグラフで表示されるとともに、スロットルレスポンスは鋭く、サウンドは活発になる。一度でもこの音を聞いたが最後、ずっとこのモードで走りたいと多くのドライバーが思うだろう。

身のこなしは軽快。1.2リットル3気筒ターボを積む標準型のわずか30kg増しに抑えられたボディが、スッスッと向きを変えていく。15mmローダウンしたプジョースポール仕込みのシャシーは、強烈なグリップを発揮する一方で、アクセルやブレーキ、ステアリング操作で自由自在のコントロールが可能だ。

続いて乗った270は、なによりもまずオプションで選べるクープ・フランシュと呼ばれる2トーンカラーが鮮烈。プジョースポール・デザインのバケットシートともども、やる気にさせる。20psアップがもたらす加速に明確な差はなかったけれど、18インチから19インチになったホイール/タイヤのおかげで、動きはよりカチッとしており、コーナーの立ち上がりではトルセンLSDがホイールスピンを抑え、強力なダッシュを演じてくれることが分かった。

こういうコースで走りを楽しむなら、やはり270に軍配を上げたくなる。でもファミリーユースを考えれば、標準型の308と共通の前席や、当たりが穏やかなタイヤ、約50万円安い価格の250が味方になってくれそうだ。

共通して言えるのは、昨今ありがちな、高性能を味わうタイプではなく、操る実感が味わえるタイプだったこと。3ペダルMTのみという設定もそうだが、ドライバーがコントロールする余地を残したシャシーなど、車両全体にその思想が息づいている。これこそ真のホットハッチだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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