新型マスタングの目玉はなんといっても2.3リットル直4ターボ。フォード的にいうところの“エコブースト”だ。直噴化された高効率ユニットでパワーを出しながら省燃費性を高め二酸化炭素の低減を実現する。
で、その排気量だが、じつは2.3リットルはマスタング伝統の数字ともいえる。1974年の2世代目、1979年の3世代目にも同排気量の4気筒ユニットはあったからだ。はじめは自然吸気だったが、3代目の途中からターボも付いた。
ということで、新型の4気筒エンジンだが、今日のそれは想像以上に力強い。低速から過給機が働くので出だしのトルクは十分だし、そこからの加速もものすごい。300馬力オーバーの数値は嘘をつかず、ガンガンクルマを前へ押しやる。これももう6気筒はいらないほどだ。
しかも4気筒は鼻先が軽くなるため、これまでのV6やV8よりもハンドリングがよく思える。リアサスが独立懸架になったことも関係するのだろうか、ワインディングではヒラリヒラリと向きを変えた。この辺は新境地だろう。ヨーロッパ市場をも意識した新型マスタングはハンドリングマシンへと進化していた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
東京・自由が丘出身。新車のインプレッションから海外ブランドのヒストリー、カーカルチャーまで幅広く活動。特に英国車、英国文化に造詣が深い。趣味はゴルフとマリンスポーツ。日本葉巻協会員。