スズキは、「ジャカルタ国際モーターショー2014」において、昨年発売を開始した「LCGC(ロー・コスト・グリーン・カー)」適合車『カリムン ワゴンR』の上級グレードとして「ワゴンR GS」を発表した。
「LCGC」は、インドネシア政府が進める低価格・環境対応車政策のことで、条件を満たすことで、課税されていた10%の奢侈品販売税が免除されるようになる。これに適合するためには、排気量や燃費、部品の現地調達率などの条件を満たす必要があるが、見逃せない条件が車両のブランド名とロゴマーク。「LCGC」はインドネシア国内での本格普及を目指す車両だけに、政府はインドネシア国内を走るのにふさわしい仕様としてこの二つを義務づけたという。
カリムン ワゴンRは、インドネシア国内にある「カリムンジャワ島」の名称を冠し、エンブレムはインドネシアの国章にも用いられている神鳥「ガルーダ」を象ったものとなっている。
今回発表した「GS」は、そのカリムン ワゴンRの最上級グレードとして投入されるもので、昨年のジャカルタ国際モーターショー2013で「ワゴンR スティングレー」として参考出品されたものをベースに開発された。スタイリッシュな外観デザインと、黒を基調とした高品質な内装を採用しているのが特徴。初めて車を購入する若年層を中心としたニーズに応えていく。ボディは日本仕様の旧モデルをベースに全長を240mm長く、排気量を998ccとしている。
現在のところ、日本のワゴンRをベースとしているため、車幅は1475mmに抑えられ、このサイズで5人が定員となっているのはかなりきつめの印象を受ける。スズキは過去にインドネシア市場に「カリムン」の初代モデルとして日本で販売していた幅広ボディのワゴンRワイドを販売した実績がある。よりワイドなボディを採用する専用車の投入はないのだろうか。
プレスカンファレンス後に開催された記者会見で鈴木俊宏副社長は、「今のところ、専用車投入は考えていない。ただ、インドネシアで欲しいというクルマ、たとえばエルティガもそうであったように、世界展開すると派生車が他の国でもヒットすることはある。ベース車をそれぞれの需要に合わせ、(それぞれの)国で受け入れられる形にしていくということはあると思う」と回答した。
また、日本で投入されている「エネチャージ」の技術をインドネシア国内に投入するかとの質問に対しては、「インドネシア国内で排ガス基準が厳しくなっていけば、エネチャージや対応する新技術を投入することになると思うが、今の状況で価格に見合うかどうか慎重に見極めていかなければならないと思っている」と語った。