【池原照雄の単眼複眼】トヨタ、事業ユニット体制が躍動し始めた

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◆小ぶりな事業体が機動的・自律的に動くように

この1か月でトヨタ自動車が中国での200万台目標や北米の本社機能移転計画など、持続的な成長に向けたグローバルでの新展開を公表した。昨年4月に自動車事業を4つのビジネスユニットに分ける新組織体制を導入してちょうど1年。各ユニットが「より機動的で自律的」(豊田章男社長)に動くことを狙ったが、それぞれの組織体が躍動感をもってきたように見える。

トヨタが1年前の機構改革で発足させたのは(1)「レクサス・インターナショナル」(2)日米欧を担当する「第1トヨタ」(3)新興諸国地域担当の「第2トヨタ」(4)エンジンや変速機などの「ユニットセンター」。豊田社長直轄のレクサスは「プレジデント」(専務役員)、それ以外では担当副社長がバーチャルに分社した企業体の社長のように采配を振るう。

2013年度のトヨタ単体の世界販売は、前年度を4%上回る約905万台(グループでは1013万台)だった。ユニット別では過去最高だったレクサスが50万台強、残りはざっと第1トヨタが450万台規模、第2トヨタが400万台規模となっている。900万台のメーカーだが、小ぶりなビジネスユニットに分割することでスピーディーな意思決定を図りながら、開発から収益管理に至るまで各ユニットに連邦組織のように持ち味を発揮させるのが狙いだ。

◆中国で明確なターゲットを掲げた第2トヨタ

4月下旬の北京モーターショーでは、第2トヨタのトップである伊原保守副社長が、年間販売を200万台に引き上げる中期的な目標を宣言した。13年の実績が92万台(前年比9%増)なので、倍増させることにより「日系メーカーでナンバーワン。ブランド別シェアで3位」という明確なターゲットも掲げた。現状では2位と6位。世界最大である中国市場の攻略なくしては新興国を担う第2トヨタの存在感はかすむ。

伊原副社長は17年末までに、15車種以上の新モデルを投入する計画も表明、200万台へとつなぐ道筋を示した。このなかには中国の開発および生産拠点が主要部品を現地化し、15年に投入する『カローラ』と『レビン』のハイブリッド車(HV)も含まれる。

一方、第1トヨタは4月末に、最大の販売先である北米で製造、販売、金融などの本社機能をテキサス州ダラス北部のプレイノに移転・集約する計画を発表した。対象企業は販売統括会社のTMS(カリフォルニア州)や研究開発および生産を統括するTEMA(ケンタッキー州)、渉外・広報などを担当するTMA(ニューヨーク州)など4社。西海岸および中西部と東部に分散する各社を、地理的な中間点でピックアップトラックの生産工場もあるテキサス州に集結させる。企業間の連携を密にすることで、市場環境の変化などに迅速に対応できる態勢を整える。

◆北米4社を移転させる重い決断

今夏から徐々に移転を始め、新社屋が完成する16年後半から17年までに、約4000人に及ぶ従業員の異動をほぼ完了させる計画だ。将来は各社の統合も検討していく。このプロジェクトも第1トヨタの北米本部主導で決定された。日本メーカーでは日産自動車が06年にカリフォルニア州の販売統括会社を工場の立地するテネシー州に移転したが、この時は退職者も少なくなかったという。それだけに、4社を移転させるトヨタの決断の重さが伝わってくる。

エンジンや変速機などの開発から生産までを一気通貫で担う「ユニットセンター」も4月初めに、エンジンでの“攻勢”を発表した。15年末までにグローバルで、熱効率などを追求した14もの新エンジンシリーズを投入する。まず1リットルと1.3リットルのガソリンエンジンの新機種を『パッソ』と『ヴィッツ』に搭載して発売した。同センターの陣容は現在、豊田市の本社地区だけで約500人。商品企画や技術開発、生産技術、工場が一体になっているため「新技術の量産化などが効率よくできている」(ユニット統括部の足立昌司主査)と、エンジニアも滑り出しに手ごたえを感じている。

8日に発表されるトヨタの14年3月期業績は、連結営業利益がリーマン・ショック前の08年3月期以来6期ぶりに最高となる見込み。それぞれの道を走り始めた4事業ユニットが目標に向かって躍動し続ければ、これからもきっちりと業績はついてくるだろう。
《池原照雄》

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