フランスの自動車大手、プジョーが6月末、米国コロラド州で開催されるパイクスピーク国際ヒルクライムに実戦投入する『208 T16 パイクスピーク』。同車をWRC(世界ラリー選手権)の王者、セバスチャン・ローブ選手が、初めてテスト走行させた。
このテストは、フランス北西部のサーキット、ラ・フェルテ=ヴィダムで行われたもの。今年のパイクスピークに同車で参戦するセバスチャン・ローブ選手が、208 T16 パイクスピークのステアリングホイールを初めて握り、その感触を確かめている。
208 T16 パイクスピークは、プジョー『208』をベースに、プジョースポールがパイクスピーク用に開発したレーシングカー。プジョーは2013年の同レースの最高峰、改造無制限クラスに、この208 T16パイクスピークでエントリー。外観は、大型リアウイングやディフューザー、フロントスポイラーなどを追加し、エアロダイナミクス性能を向上。カーボンファイバー製ボディは、前後のフェンダーが大きく拡幅された。
搭載エンジンは、3.2リットルV型6気筒ツインターボで、最大出力875ps、最大トルク90kgmを発生。トランスミッションはパドルシフトの6速シーケンシャル。0-100km/h加速1.8秒、最高速240km/hの性能を備えている。
初テストを終えたセバスチャン・ローブ選手の第一声は、「こいつはまるでロケットだ。パワフルすぎる」というもの。9度、WRCを制したローブ選手にとっても、その加速性能は想像を超えていたようで、「こんなに加速が鋭い車を運転したことがないよ」とコメント。
また、ブレーキ性能にも驚嘆。ローブ選手は、「ブレーキはラリーマシンというよりは、F1マシンに近いね」と、その制動力に高い評価を与えている。
パイクスピーク国際ヒルクライムは、米国コロラドスプリングスで、1916年から開催されており、世界で最も有名なヒルクライムレース。競技は全長20kmのコースを一気に駆け上がり、タイムを競う。標高はスタート地点が2800mで、ゴール地点が4300m。標高差1500m、コーナー数156、ゴール付近では標高の高さに起因する酸素不足により、パワーが約30%ダウンするという過酷なモータースポーツ。
プジョーは1988-1989年、パイクスピーク国際ヒルクライムに参戦し、勝利を挙げた。プジョーにとっては、24年ぶりの同レース復帰となる。