「ヨーロッパでDSは“ライン”という位置づけだが、中国では“ブランド”だ」と、シトロエンでDS系車種のデザインを統括するティエリー・メトロス氏は語る。その違いは何かと言えば、中国には“DSストア”と呼ぶ専売店があることだ。
昨年6月に『DS3/4/5』を中国で発売するにあたり、“DSストア”の一号店が南京にオープン。今年4月時点ですでに26店舗が営業している。長安汽車とPSAの合弁新工場が年末からDS5の現地生産を始めるので、それまでに70店舗まで増やす計画だ。
もともとDSラインはCラインよりプレミアムな位置づけだが、中国では専売店でブランド価値を高めるカスタマーサービスを展開できる。それがあるからこそ「DSはブランド」なのだ。当然、今回の上海ショーではDS独自のブースを構えた。
デザインも今後は「Cラインとの差異化をより明確にしていく」とメトロス。以前はCラインも含めてシトロエン全体のデザインを指揮していた彼だが、CラインとDSラインそれぞれの方向性を定めたのを機に、去年からDSに専念している。
そのDSラインの新たなデザインの方向性を示すのが、今回ワールドプレミアとなったSUVコンセプトカー、『ワイルドルビー』である。筋肉質的で力強いフォルムとランプなどの繊細なディテールのコントラストが、DSらしさのひとつのポイント。ヘッドランプに内蔵したコの字を描くデイタイムランニングランプは、今後のDSラインの目印になるという。
ワイルドルビーの量産型は来年中にはデビューの予定。コンセプトカーと同じプラグイン・ハイブリッドが搭載されるかどうかは不明だが…。
DSのブースでは職人がステアリングに革を巻くなど、クラフトマンシップのデモンストレーションも行われ、観衆の注目を集めていた。これもブランド価値を高める努力と言えるだろう。