今年の東京モーターショーに日産自動車が出展するコンセプトカー『PIVO3』は、AVP(オートマチックバレーパーキング)での使用を想定したことが特徴のひとつとなっている。バレーパーキングとはアメリカのホテルなどでよく見られる手法で、駐車係が玄関でお客さんのクルマを預かり、車庫までの移動を担当するシステムだ。
PIVO3の開発を担当した先行車両開発部主管の田部昌彦氏は、このAPV機能について次のように説明する。
「たとえばマンションの住人が、携帯電話やパソコンなどでPIVO3を呼び出すと、車両が無人運転でエントランスに横付けされます。そして目的地のショッピングセンターなどに着き、クルマを降りると、PIVO3は自動的にパーキングに格納され、用事が済んで帰宅時に呼び出すと、再び出口に戻ってきます」
これまでも自動運転を提案するコンセプトカーはいくつか存在したが、PIVO3は具体的な使用シーンまで想定している点が一歩前進と言えるだろう。またこの説明からは、自動車を個人が所有するのではなく、必要に応じて使用する、カーシェアリング的な活用をも睨んでいることがうかがえる。
日本の自動車会社はこれまで、「クルマを売る」ことを主眼としてきたためか、カーシェアリングに本格的に参入することは控えめだった。日産PIVO3はその常識を打破したコンセプトカーという点でも、画期的な1台と言えるのではないだろうか。