少し前までBMW『X3』の独壇場だったカテゴリーに、先ごろメルセデスベンツ『GLK』が名乗りを上げたばかりで、そこにアウディ『Q5』も戦線に加わったわけだが、結論からいうと、このカテゴリーでベストといえる仕上がりだった。走りにSUVであるがゆえのハンデはあまり感じられない。重量が重く、重心が高く、バネ下が重いながらも、こうも上手くまとめられるのかという運動神経を身に着けていた。乗り心地に不快な固さもない。まずこの点でライバルを一歩リードする。内外装のデザイン性も高く、クオリティ感も申し分ない。MMI(マルチメディアインフォメーション)のカーナビのバージョンが新しくなったことも大歓迎だ。全体の完成度の高さは『Q7』をもしのぐ印象で、価格に対するバリューにおいては、ライバル2車はいわずもがな、『A4アバント』すらも上回るように思う。それでも日本で乗るには1900mmもある全幅がネックか……。興味は、「2.0TFSI」と「3.2FSI」、はたしてどちらを選ぶべきか、というところにいきつくわけだが、これがまた難しい。エンジンスペックでは、2.0TFSIのほうがトルク特性で3.2FSIを上回り、実際に運転してもそのとおり。実用域でターボらしく盛り上がり感のある加速を味わえる2.0TFSIはさらに、鼻が軽い分、ノーズが入りやすく、グイグイと曲がっていく。走り味に軽快感がある。ただし、扱いやすさでいうと3.2FSIが勝る。雪道など悪路を走ることを考えると、直線的な加速特性を示す自然吸気ユニットのほうが適するだろう。もちろん、V6の重厚な響きも捨てがたい。さらに、両グレード間の装備では、本革シートやクルーズコントロール、19インチタイヤなどが標準装備されるか否かという問題があり、約90万円という価格差のうちのかなりの部分は実質的に帳消しとなる。考えれば考えるほど、どちらを選ぶべきか迷うところだが、筆者なら最終的には2.0TFSIの「Sライン」を選ぶ。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★岡本幸一郎|モータージャーナリスト ビデオマガジン『ベストモータリング』の制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスに転身。新車から中古車、カスタマイズ事情からモータースポーツ、軽自動車から輸入高級車まで、幅広い守備範囲を誇る。「プロのクルマ好き!」を自負し、常にユーザー目線に立った執筆を心がけている。
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