旧型の、あの生真面目でちょいとばかり野暮なデザインと荷物を沢山積んだら超安定する乗り味がボクは大好きだったものだから、新型のどこかリンカーンっぽいモダンなスタイルと乗用車的なユニボディ構造への変更に、いささか面食らいつつ、試乗会へと出向いた。
『エクスプローラー』というクルマの出来が悪いわけがない。というのも、こいつはSUVでは全米No.1の人気モデルで、絶好調のときは年間40万台以上売られていた。つまり、フォードのドル箱であり、その出来次第で会社の経営状態が変わるほど大事なモデルなのだ。
「お~っとっと~! ちょっとハイスピードで突っ込みすぎたぁ~! このままだと外へ膨らんじゃうかもぉ~?」なんていうコーナーでも、後ろ足で「ふにゃぁ~っ」と踏ん張ってキレイにコーナーのイン側にへばりついて曲がって行ってくれる。
なんて大人っぽくなったんだろう。先代がまだあどけなさの残る少年だったなら、この新型は社会に出た青年。そのくらい印象のちがうクルマになっている。これなら、50代60代の男性でも、しっくりと似合うのではないだろうか。
魅力の第一は、おしゃれ度の高いエクステリア。精悍でモダーンなデザインでスポーティなイメージに仕上げている。
モーターボートで波を越えるように、不整地のギャップなどをものともせずグイグイ乗り越えていく力強さ。これがフレームシャシーを持つSUVの大きな魅力だった。
フルモデルチェンジを受けた新しい『エクスプローラー』はプラットホームを変更するなど、大幅な改良を受けて登場した。これまでのトラック系から乗用車系のプラットホームを採用することで、走りのフィールが格段に向上したのは言うまでもない。
明らかに、何もかもが新しい。けれども確実に、『エクスプローラー』20年の歴史の延長線上にある味わい。
大変身の『エクスプローラー』である。従来のボディ・オン・フレーム(セパレート・シャシー)に換えて、『トーラス』の横置きFFプラットフォームをベースとするモノコックボディを採用。それに伴って、デザインもぐっとモダンに進化した。
プジョー『407』の後継車が『508』。なんで408じゃないかと言えば、新興国向けに408があり、より上級に位置づけられた新シリーズだから、である。