クーペとSUVのクロスオーバー…。なんてもうめずらしくもないが、『C4』をベースにショーティ&ワイドなプロポーションを与えられた、SUV風味の超個性派モード系プレミアムモデルがシトロエン「DS」シリーズ第2弾となる『DS4』。
とくにリヤドアの存在を消し去るような内蔵ドアオープナーの処理はクーペルックへの強いこだわり。とにかく内外装ともにカッコ良すぎ! ちなみにリヤサイドウインドーはハメ殺しで昇降せず。リヤドアデザインを見れば、どうやってもウインドーは下がりませんね。
グレード、エンジンは2タイプ。「シック」は1.6リットルターボ、156ps+6速EGS(2ペダルマニュアル)に17インチタイヤの組み合わせ。上級の「スポーツシック」は1.6リットルターボ、200ps+6MTに18インチタイヤという組み合わせだ。
ズバリ、フランス車初心者を含めた一般的なユーザーに薦めたいのはシックのほう。スポーツシックは素晴らしく速く、クラッチは軽く、MTのシフトフィールも悪くないものの、乗り心地がフランス車への期待値からすると硬すぎ。山道で右へ左へステアリングを切るようなシーンでは足が突っ張る感じで走りにくかったりする。シートは革張りでデザインも抜群だが、後席はお尻がズルズル滑りやすい。
一方、シックは156psでも十分に速く、下からのトルクも不足なし。とにかく走りは軽やかで気持ち良く爽快で、足回りはフランス車、シトロエンに期待するしなやかさを持ち合わせ、乗り心地はもう快適そのもの。結果的に飛ばしたときに走りやすい。
EGSはオートモード(A)だと1-2速の変速で船を漕ぐような感じになりがちだが、気になるのはそこだけ。もちろん、パドルシフトによるマニュアル操作を行えばずっとスムーズに走れる。
最後に愛犬家としてDS4で嬉しかったのは、アクセサリーカタログにペット用品がふたつラインナップされていること。犬が自ら飛び乗れるのは後席のほうだが、そこに敷くペットシートカバーと、荷室と後席を仕切るドッグネットが用意されているのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★
青山尚暉|モータージャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイトも手がける。