ヤマハ発動機は、10月31日から一般公開された「ジャパンモビリティショー2025」で展示する3輪パッケージのフルオープンEV『TRICERA proto(トライセラ プロト)』に、独自開発のサウンドデバイス「αlive AD」を搭載したと発表した。
【画像】専用サウンドを開発した『TRICERA proto』
同車は新たなドライビングプレジャーを提案する3輪手動操舵(3WS)の実走コンセプトモデル。前後輪操舵がもたらす新感覚の旋回制御に加え、ドライバーの高揚感を掻き立て、操作に没入する悦びにあふれた車内空間の実現を目指し、音響面での開発にもこだわった。
「TRICERA proto」のUX/UI音をデザインした橋本さん(左)と、走行音を開発した田中さん(右)走行音の開発を担当した田中澄人さん(AM開発統括部)は「これまで作った音源は数千種」と話す。TRICERAのコンセプトを自分の中で咀嚼した上で、その音源からベースになるものをピックアップして作り込んだという。全開加速時やクルージング時で、ドライバーの心もちまで移ろいでいく様子が容易にイメージできるサウンドに仕上がっている。
起動音や機能音といったUX/UI音を担当した橋本晃さん(プランニングデザイン部)は、パワーキーのON/OFF、警告音やエラー音、さらには充電開始のサイン音まで、「なぜこの音なのか?を考え、実際に創るのが私の仕事」と説明する。身に着けた絶対音感と音響心理学の知識を背景に、物理的な音波が人間にどのように知覚・解釈され、心理的な影響を与えるかを考え抜くことで、さまざまなUX/UI音を生み出している。
対象のコンセプトや要件を自分の中にインプットし、サウンドデザインに取り組む橋本さん
二人の入社動機は、ともに「音」だった。田中さんの主な関心は「自動車の音」、対して橋本さんは「二輪車の音」だった。「その頃、モビリティの音と言えば“出てしまう音”を意味しました。田中さんも私も、当初は自動車エンジンやオートバイの開発現場で騒音や振動を抑える仕事に就いていました」と橋本さんは振り返る。
しかし、「音」との高い親和性をもつヤマハブランドには、「“モビリティ×音”の領域に、こだわりをもって向き合っていく期待感を常に感じていた」という。フルオープンという特性上、風切り音などの影響が大きい中での音響開発は特に困難だったが、田中さんは「風切り音などの影響が大きいフルオープンならではの難しさやチャレンジがあった」と開発の苦労を語る。
ヤマハ トライセラ プロト(ジャパンモビリティショー2025)感性に訴える旋回性能と、それらを増幅するサウンド。「実際に乗り込んでの体験はできませんが、デモ時のサウンドにぜひ耳を傾けてください」と話す田中さんと橋本さん。その刺激的な世界の一端を、ジャパンモビリティショー2025のヤマハブースで体験できる。










