“MOVE ON”と車名のみならず情勢をも引き合いに出すかのようなキャッチで登場した新型『ムーヴ』。その原点となるのが1995年8月に誕生した初代だった。

1993年9月にスズキから初代『ワゴンR』が登場。初代ムーブはその対抗馬として送り出された。今でこそスーパーハイトワゴンといえば軽自動車の王道のジャンルだが、もともとはワゴンRとともに、このムーブが登場したことで“ハイトワゴン”のジャンルが形成された。

“人も、車も、ムーヴしよう。”が当初のキャッチコピー。ビッグキャビン&ウルトラコンパクトノーズ、縦型リヤコンビランプなどをもつスタイルは、4枚のスイング式ドアに加え、バックドアも誰にでも扱いやすい横開きとしていたのが特徴。ルーフエンドにスポイラーを備えた大型エアロルーフレールを装着、全高は1695mm(FF)とした。

室内空間は広々としており、当時の『ミラ』に対してシート座面は80mm高く、ドア開口は200mm高い設定。後席は左右独立式で150mmのスライド(FF)が効き、ダブルフォールド機構でラゲッジスペースを広く取ることもできた。

エンジンはすべてDOHCとし、この3気筒(55ps/6.2kg-m)と4気筒ターボ(64ps/10.2kg-m)の2機種の設定。ATは3気筒が3速、4気筒ターボは4速の組み合わせだった。