◆ヨンヒャク第3の選択肢にありかも
中国勢の躍進が「東京モーターサイクルショー2025」でも感じられた。大きく構えたQJMOTOR JAPAN(QJモータージャパン/福岡県福岡市)のブースにて、バイクファンが熱視線を送っているのは、並列4気筒400ccエンジンを搭載したスーパースポーツ『SRK400RS』だ。
中国メーカーというとEV(電動車)のイメージだが、QJモーターの武器は内燃機関=エンジンだ。『Ninja ZX-4R』や今後登場するであろう新型『CB400』といった、ヨンヒャク4気筒モデル市場におけるカワサキvsホンダの対決に割って入る“台風の目”になるかもしれない。
というのも、まずその価格設定だ。日本市場への投入を発表したQJモータージャパンの西浩二取締役は、公式には明かしていないものの、筆者の取材に対し「ニンジャZX-4Rや、これから出てくるであろうホンダのニューモデルより低価格になります」と、ハッキリと言い切った。

フルカウルモデルであるZX-4Rの2025年式は118万8000円であり、新型「CB400」はそれよりもコストが抑えられるはずのネイキッドスタイルで登場することが予想される。
西取締役は「どちらにも価格で負けない」とし、「もしや100万円切り?」の筆者の問いかけについては「その前後に近いかもしれない」と、価格差での勝負を強く意識している様子。100万円切りはないかもしれないが、「その少し上の価格帯を狙っていますかね」と、しつこく食い下がると、否定はしなかった。
◆「性能面で劣れば勝てない」

しかし、値段だけでライダーらが納得できないのは、QJモータージャパンも承知している。展示車両の足まわりは、倒立式フロントフォークに「QJMOTOR」と刻印の入ったラジアルマウントキャリパーに300mmフローティングディスクローターがセットされているが、日本市場導入にあたっては「ブレンボを装着して、より製品価値を高める」と、西取締役は明かした。
「SRK400RS」の水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブは、ボア×ストロークを57.0mm×39.1mmとし、総排気量は399.1cc。最高出力57kW(77.6ps)/14,000rpm、最大トルク39Nm(3.9kg-m)/13,200rpmを発揮。6速トランスミッションが組み合わされる。

車両重量は176kgに抑えられ、シート高は808mm。タイヤサイズはフロント120/70ZR17、リヤR160/60ZR17としている。
すでにQJモーターでは、125ccクラスから大型モデルまで(欧米では900ccのアドベンチャーも存在する)多彩なラインナップがされ、東京モーターサイクルショーでもさまざまなモデルが展示されているが、注目の集まる新型のヨンヒャクは壇上に置かれて、ひときわ目立つ。

興味津々の筆者が車両を隅々までチェックしていると、西取締役はメインキーを裏から持ってきて、なんとイグニッションをON。メーターディスプレイを見せてくれるのだった。
フルカラーの大型ディスプレイにはトラクションコントロールのインジケーターも表示されているから、電子制御も先進的であることがわかる。
◆400ccで存在感を示すか

スーパースポーツだけじゃない。400ccクラスのVツインクルーザー『SRV400VS』をQJモータージャパンは国内導入する。
シルバーとブラックを基調にトーンを抑えたボバースタイルの車体に、排気量384.5ccの水冷DOHC4バルブV型2気筒を積む。ファイナルドライブはハーレーダビッドソンのように、静粛性や乗り心地に優れるベルトドライブを採用している。
QJモーターは上海から約480kmの場所にある67万平方メートルの敷地を有するファクトリーにて、年間120万台の完成車と200万台以上のエンジンを生産する能力を持つ。世界最高峰のロードレースMoto3やMoto2をはじめ、市販車ベースのスーパースポーツ世界選手権にも出場している。
正規ディーラーはまだ11店舗(2025年3月現在)だが、400ccモデルの販売が始まれば存在感を強く示すブランドになってくる違いない。
