【ルノー アルカナ E-Techエンジニアード 新型試乗】燃費チャレンジで31km/L超!? 恐るべきアルカナの素性…中村孝仁

ルノー アルカナ E-Techエンジニアード
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私、やらかしてしまったかもしれません。このクルマに乗る前に同じ「E-Techエンジニアード」のルノー『ルーデシア』に試乗して、燃費でかなりいいスコアを出していたんです。そんなわけで、今回のアルカナも正直その部分にはスポットを当てて乗っていたのですが、それがいけませんでした。

と、のっけからこんな話で恐縮だが、ルノー・ジャポンはメディアを対象とした燃費競争をやった。横浜から愛媛県の松山まで指定されたコースで走り、その燃費を競うというもの。結果は何とWLTC越えの31.0km/リットル超というとんでもない記録を出したという。

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その後も90km弱のショートコースでの燃費チャレンジの結果はトップ5がすべて30.0km/リットル超と、これもとんでもない記録を出していた。そんなわけだから何も超絶エコ走行をしなくてもあっさりと20km/リットル越えは当たり前という中で、私が記録したのは17.6km/リットル。返却時にその旨を広報に告げると帰ってきた答えは「恐らく最低記録です」であった。これがやらかした理由である。

確かに全然燃費走行はしていない。走行は常にマイセンス、まあノーマルということである。だから、一般ユーザー的に普通に使って走ったつもりだが、それでも最低記録らしい。考えられる理由のいくつかは、この夏のある意味もっとも暑い時期にお借りしてエアコンがフル稼働だったこと。ほとんど高速を使わずに試乗していたことなどではあるが、まあ最低記録という不名誉な戴冠をされてしまったので、いずれこれについてはちょっとリベンジしてみたい。

◆アルカナが元来持つシャープな運動性能

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先にお借りしたルーテシアE-Techエンジニアードを「マイベスト・ハンドリングカー in セグメント」と称えた。それほど意のままに操れて、ステアリングや足回りなどを通じてドライバーにもたらすクルマの一挙手一投足がとにかく楽しいクルマだった。そんなクルマの印象を完全に引きずってこのアルカナに乗り換えてしまったからいけない。乗ったその瞬間から凡庸とした動きに少しがっかりしたのである。

まさに人間が相対評価しかできない典型例である。だが、アルカナE-Techは元々そんな凡庸としたクルマではなく、昨年初試乗した時は「シャープな操舵感覚」だと書いた。つまり、無意識に直前まで乗っていたクルマの操舵感覚が刷り込まれて乗り始めてすぐにそうした印象になるのである。

そこで一旦、我が家の凡庸としたステアリングフィールを持つ(失礼)シトロエン『ベルランゴ』のステアフィールを体に覚えさせてから再度試乗した。するとやはり印象は激変、本来アルカナが持っているのであろうシャープな運動性能が見えてきた。やはりこのクルマは、元来そうした動きのクルマなのだと思う。

◆同じプラットフォームでも乗り心地に大きな違い

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一方で乗り心地はどちらかと言えばシトロエンのそれに近く、ルーテシアから乗り換えた直後に感じた快適さは印象としては正しいものだったように感じた。NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)の抑え込みはこのクラスのモデルとしてはそこそこ高く、さすがにサイズも伴って、ルーテシアとのクラスの違いを感じさせる。

ただそうは言っても使っているプラットフォームは基本的にルーテシアと同じCMF-B HSと呼ばれるBセグメント車用のもの。そのサイズと重量、それにサスペンションのチューニングによってルーテシアとの違いを鮮明にさせている。ただ、若干の微振動やいわゆるエルクテストと称する路面に落下物を発見して急な転舵をして回避するようなステア操作をした時など、荷重移動によるおつりをもらうのは、クルマというよりもタイヤに起因すると考える。

恐らく日本仕様はお隣韓国で生産されているのでは?と考えればこのタイヤの選択もうなづけるのだが、コンチネンタルを装着していたルーティアとはそのあたりが少し違うのかな?とも感じてしまった。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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