【トーヨータイヤ OPEN COUNTRY A/T III 試乗】“キャンプなタイヤ”の代名詞、オープンカントリーの新作をオフロードで試す…飯田裕子

トーヨータイヤ OPEN COUNTRY A/T III 試乗
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  • モータージャーナリスト:飯田 裕子氏
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最近は人混みを避けてますますキャンプや釣りなどを楽しむ方が増えていることもあり、大きなブロック(パターン)のボコボコ、ゴツゴツも特徴的なオフロード系タイヤが実用面でもファッションとしても注目され人気がある。

アウトドア愛好者たちには、トーヨータイヤのオフロード志向タイヤのシリーズ「OPEN COUNTRY(オープンカントリー)」“キャンプなタイヤ”として親しまれているようだ。

北米を中心にいち早くカスタム・トレンドに対応した「オープンカントリー」シリーズ、いまや国内でも人気の商品に

トーヨータイヤ OPEN COUNTRY A/T III 試乗トーヨータイヤ OPEN COUNTRY A/T III 試乗

トーヨータイヤのオフロード系タイヤ「オープンカントリー」シリーズは北米やオーストラリア、中近東などを中心に輸出用4WDモデルの標準装着用タイヤとして販売が始まり、1983年からは日本にも導入が開始されるようになった。2019年からは国内への本格展開を開始。人気車種のスズキ『ジムニー』トヨタ『ランドクルーザープラド』三菱『デリカ』のような本格4WD系から、トヨタ『ハイエース』『RAV4』など車種向けに合ったタイヤを順次発売、ラインナップを強化してきた。

トーヨータイヤのオフロード系タイヤはヘビーなコンディションに対応する順からM/T (Mud Terrain)、R/T (Rugged Terrain)、A/T (All Terrain)、U/T (Urban Terrain)とラインナップは充実。今回は「オープンカントリー A/T Plus」に置き換わるタイヤとして、SUVやクロスカントリービークル向けに「オープンカントリー A/T III」が新たにラインアップに加わることになったのだ。

トーヨータイヤ OPEN COUNTRY A/T III 試乗トーヨータイヤ OPEN COUNTRY A/T III 試乗

このタイヤの特徴は同社の従来のA/Tタイヤに対し雪道やオンロードの操縦安定性も高められ、欧州の環境規制(常用車規定が基本)に基づく静粛性や転がり抵抗、ウエットグリップ性能などをクリアするA/T=オールテレイン(全天候型)タイヤ。“スノーフレークマーク”も付くこのA/Tタイヤはオールシーズンでアウトドアやオフロード走行を楽しむ方の新たな選択肢の一つとしてのバランスが高められたタイヤと言えそうだ。

最新のランクルとハイラックスで、オフロードを比較インプレッション!


今回はそんな性能のなかでも特にオフロード性能に注目した走行を、最新のランドクルーザー300やハイラックスで試すことができた。会場はトヨタの4WDテストも行われるという「さなげアドベンチャーフィールド」。走行コースは、きわめて急な下り+コーナー、急な上り坂、岩場、コブ(モーグル)、砂利の浮いた路面など。このコースのようなシーンにリアルで直面したら、いくら優れた4WD性能を持つモデルに乗っていても「進んでいってもいいのかな…?」と躊躇してしまいそうなコースだった。

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最新のランドクルーザー(GR スポーツ)とハイラックス(2.4L直4ターボディーゼル)にそれぞれに「オープンカントリー A/T III」を履いて走行してみたら、同じ性能を持つタイヤでありながらこんなに印象が違うのかという体験ができた。4WDモードはどちらの車両も泥濘地や急な坂の走行に適したL4(ローレンジ)にセットし、同乗してくれた4WD使いのプロのチームJAOSの能戸知徳選手のアドバイスに従い、所々でATのDレンジを1速に切り換えながら走行した。今回は当然ながらクルマの試乗ではなく、限られた時間内で様々なシーンでの「オープンカントリー A/T III」の性能をより多く感じ取るためだ。

最初に試走したのは最新のランクル300。小石混じりの道を走り始めたところから乗り心地良さを感じ「このタイヤ、こんなにブロックが主張しているのにすごい!」と思ったら、乗り心地の良さはクルマの性能だった。以降もコブ(モーグル路)や岩場での車体の揺れ、ステアリングのキックバックも少なく次々と難所をクリアしていった。

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タイヤの優れた性能は乗員の安心、安全、快適の正に“黒子”に徹しているなという感じ。ただし斜度20度/55mの長くて急な下り坂ではDAC(ダウンアシストコントロール)とクロールモードをセット。ブレーキ操作をクルマに任せて下るのだが、そこで「オープンカントリー A/T III」のグリップ力が勇者のように際立って感じられた。急な下り坂だから余計に感覚的にサイズ/車重の大きくて重たいと感じる2.5トン前後のボディをタイヤがしっかりとコントロールしているのがわかったのだ。

ハイラックスでは、路面からの確かなインフォメーションを感じられる安心感

次に「オープンカントリー A/T III」の性能をスッピン感覚で体験しやすかった、ハイラックスで同じコースを走った。小石混じりの路面を捉える音も聞こえる。砂利の上では砂利を掻き分けるイメージもわかる。同乗してくれたチームJAOSの能戸選手はその感覚が“わかってしまう”と謙虚気味に言ったけれど、私は “いかにもタフな路面と向き合ってる”感じが、わかりやすいのが良いと思う方もいるのではないかと思った。これはオフロード経験が少なめな素人が、頼もしさを分かりやすく体験をさせていただいた新鮮さゆえの印象だろう。

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ステアリングのキックバックも確かにあり、ホイールベースも長く、サスペンションもリヤがリーフスプリングということもあって、ドライブフィールは滑らかとはいかない。

例えば、シフトを1速に入れて、ゆっくりと急で狭い下り坂を下りながら途中から左方向へコーナーリング。所々で石を噛む音をさせながら、真っ直ぐ下るだけならタイヤの性能を縦方向でフルに使えるけれど、コーナーでは横方向も使って走る。ここは道幅に余裕のほとんどない上、乾いた砂路の上に握りこぶしくらいの岩の凹凸もあり様々な悪条件下だった。

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それでもハンドル操作で走行ラインを選びながら走るのでもタイヤが取られる感覚はなく、思い通りの場所を走ってくれた。さらに自分が行きたい場所を進めると言う点では、車体がひっくり返りそうな感覚を抱くような傾斜でもしっかりとグリップし、平坦路と変らぬ印象で斜面を通過できた。

岩場の傾斜も急な登坂路の走行は、事前のセクションで水たまりを通過していた後だったこともありタイヤが濡れた状態で岩場を上がることになる。ちょっと意地悪をして途中で一度停止してから再発進も試みたけれどスリップもせず、次々と大きな岩々を捉えて涼しげな様子でクリアしていった。ハイラックスが4WD性能はもちろん、車体、それに路面に対するサスペンションの追従性にも優れていることもあるが、それを活かすためにはタイヤの性能が重要だと改めて実感したシーンだった。

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モーグルセクションも4輪のタイヤの一輪ずつがそれぞれ異なる傾斜を捉えてタイヤの縦横方向、さらにサイドまで使って仕事をしなければならない。そこでは一度空転したものの、むしろそれがリアルさを実感でき、それでも難なく通過していく様子にますますこのタイヤの実力を知ることができた。

そして斜度20度/55mの急な下り坂では、やはりタイヤ本来の性能をわかりやすく体験できた。DACのスイッチを入れ、ブレーキを踏まずに下っていく。体感的にはハイラックスのおよそ2.9tの車体がザザーッとタイヤのグリップを失って滑りそうなのだけど、足元はまるで登坂路を上るように確実に路面を捉え下っていった。

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試走の後半、平坦な乾いた砂地を30~40km/hくらいで走行中に強いブレーキをかけてみた。するとブロックとゴムでギューッと路面を捉えてしっかりと減速。一方、上りながらの砂利のセクションでは普通に走行すれば表面をさらって走行する感覚でなにも起こらないので、それならばとアクセルを強く踏み込んでみた。

すると砂利のなかにタイヤが入り込み、グイグイと砂利を捉えて進んでいく。これも一般的な乗用車タイヤでは得られないA/Tならではの性能であり感覚だ。大きなブロックがザクザクと砂利のなかを掻き分けてはトラクション性能を発揮している様子が想像できた。さらにもう少しこのままアクセルを踏み込んでみたいと思うところでコースは終了。

A/T=オールテレインは岩場もサンドもマッドも含め、どんなシチュエーションにもオールマイティな性能を発揮してくれると頭ではわかっていたつもりだけど、「オープンカントリー A/T III」はすこぶるオールマイティだ。

いざというときに役に立つA/Tタイヤの頼もしさ、アウトドア派のSUVユーザーの1つの選択肢として

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正直、日本ではここまでのコンディションを走行する機会は現実的には少ないのかもしれない。しかし一般道から目的地の河原に到着する直前が、石ころだらけの砂利道だったり泥地の湖畔もある。草地や土の上を走行するような、豊かな自然の地形を活かしたキャンプサイトもキャンプを楽しむのに魅力的。雨上がりのラフロードはA/Tタイヤが頼もしい。木の根や岩場の走行もタフにこなす頑丈な耐久性や、ブロックやサイプに詰まった泥や砂利、雪を排出する性能だってもちろん高い。

気になるのは舗装路ではないか。ブロック(パターン)の大きなオフロード系タイヤとしては舗装路での直進安定性や静粛性も日常づかいでもこだわりたいところ。そんな性能もバランスよく向上している点が今回の特徴の一つと担当者は語ってくれた。従来の「オープンカントリー A/Tプラス」に対し、舗装路の直線安定性、そして雪上走行性能も向上しているそうだから、実用性も重視しつつオールシーズンでこの“キャンプなタイヤ”を、オシャレにも履くことができそうだ。

モータージャーナリスト:飯田 裕子氏モータージャーナリスト:飯田 裕子氏

飯田 裕子|自動車ジャーナリスト協会会員
現在の仕事を本格的に始めるきっかけは、OL時代に弟(レーサー:飯田章)と一緒に始めたレース。その後、女性にもわかりやすいCar & Lifeの紹介ができるジャーナリストを目指す。独自の視点は『人とクルマと生活』。ドライビングインストラクターとしての経験も10年以上。現在は雑誌、ラジオ、TV、シンポジウムのパネリストやトークショーなど、活動の場は多岐にわたる。

《飯田裕子》

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