ステランティスの5車種、EVラリーに参加中…COP26に合わせて開催

プジョー208に初設定されたEVが「e-208」

シトロエンe-C4は1回の充電での航続が最大350km

グレードによりモーターの出力が異なるフィアット500e

バッテリーの8割の容量を30分で充電できるDS3クロスバックE-TENSE

スコットランドで開催中のEVラリー「e-Tour of Scotland」に参加しているプジョーe-208
  • スコットランドで開催中のEVラリー「e-Tour of Scotland」に参加しているプジョーe-208
  • スコットランドで開催中のEVラリー「e-Tour of Scotland」に参加しているシトロエンe-C4
  • スコットランドで開催中のEVラリー「e-Tour of Scotland」に参加しているフィアット500e。後方にはDS3クロスバックE-TENSE
  • プジョー e-208
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ステランティス(Stellantis)は、英国での「COP26」(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)に合わせて11月8~12日、スコットランドで開催中のEVラリー「e-Tour of Scotland」に参加している。

e-Tour of Scotlandは、グラスゴーを起点に、スコットランドの風光明媚な場所を走破する。全長1234マイル(約1985km)のルートの途中では、スコットランドの公共充電インフラを利用する。ラリー車両は夜間に充電するのではなく、参加者にEVをより現実的に体験してもらうために、移動中に充電を行う。e-Tour of Scotlandは、スコットランドのEV充電インフラが、いかに整備されているかを証明する狙いもあるという。

ステランティスは電動化に取り組んでおり、2030年までに欧州の新車販売台数に占める低排出ガス車の割合を、70%に引き上げる計画だ。例えば、DSブランドは2025年から、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)のみを販売する。ステランティスは2025年までに、300億ユーロを電動化とソフトウェアに投資する予定だ。

◆プジョー208に初設定されたEVが「e-208」

ステランティスはグループ傘下の5車種のEVで、このe-Tour of Scotlandに参加している。5車種のEVは、プジョー『e-208』、シトロエン『e-C4』、フィアット『500e』、『DS3クロスバックE-TENSE』、ヴォクスホール(オペル)『モッカe』だ。

新型『208』に初設定されたのが、EVのプジョーe-208だ。プジョーe-208は、「e-CMP」と呼ばれる電動モジュラー車台をベースに開発された。EVパワートレインは、モーターが最大出力136hp、最大トルク23.5kgmを発生する。バッテリーは、蓄電容量が50kWhと大容量だ。この効果で、1回の充電で最大340km(WLTPサイクル)の航続を備える。

バッテリーの充電は、家庭用コンセントでおよそ16時間だ。三相コンセントでおよそ5時間15分。出力100kWの急速チャージャーを利用すれば、バッテリーの8割の容量をおよそ30分で充電できる。3種類のドライブモードとして、「エコ」「ノーマル」「スポーツ」を採用した。このうち、スポーツではパフォーマンスが重視され、0~100km/h加速は8.1秒の性能を発揮する。

◆シトロエンe-C4は1回の充電での航続が最大350km

新型『C4』のEV版が、e-C4。EVパワートレインのモーターは、最大出力136hp、最大トルク26.5kgmを発生する。スポーツモードでは、0~100 km/h加速9.7秒の性能を発揮する。最高速は150km/hでリミッターが作動する。

バッテリーは400Vの高電圧のリチウムイオンで、蓄電容量は50kWhだ。1回の充電での航続は、WLTPサイクルで最大350kmに到達する。e-C4は、エンジン搭載車の進入が制限されている欧州の電動車専用ゾーンに、アクセスすることができる。バッテリーには8年間、または走行16万kmの保証が付帯する。

e-C4には回生ブレーキが装備されており、ブレーキペダルを踏まなくても車両を減速させ、航続を拡大する機能がある。このシステムでは、ブレーキや減速時のエネルギーを、バッテリーに蓄えることができる。これより、ドライバーはバッテリーを充電しながら、航続を拡大できるという。

センターコンソールのモードセレクターによって、走行モードが切り替えられる。走行モードは、エコ、ノーマル、スポーツの3種類だ。モードに応じて、エアコンやEVパワートレインの特性が変化し、ドライバーはダイナミズム重視、エコ重視の走行が選択できる。

運転席と助手席の間には、シフトスイッチが配される。このスイッチはメタルのエレガントな仕上げで、R、N、Dの3つのポジションを切り替える。Pはパーキングモードで、Bはブレーキエネルギー回生モードだ。センターコンソールには、電動パーキングブレーキのスイッチがレイアウトされている。

◆グレードによりモーターの出力が異なるフィアット500e

フィアット500eには、ベースグレードの「アクション」に最大出力95hpを発生するモーターを搭載する。動力性能は、0~100km/h加速が9.5秒で、最高速は135km/h(リミッター作動)となる。バッテリーは、蓄電容量23.8kWhのリチウムイオンだ。1回の充電での航続は、WLTPサイクルで最大190kmを確保している。

「パッション」グレードには、最大出力118hpを発生するモーターを搭載する。エントリー仕様のアクションの最大出力95hpに対して、最大出力は23hp引き上げられた。パッションの動力性能は、0~100km/h加速が9秒で、最高速は150km/h(リミッター作動)。アクションの0~100km/h加速9.5秒、最高速135km/h(リミッター作動)よりも、動力性能に優れる。

リチウムイオンバッテリーは、蓄電容量がアクションの23.8kWhから、パッションでは42kWhに大容量化された。これにより、1回の充電での航続は、WLTPサイクルで最大320kmと、アクションの180kmを上回る。市街地のみを走行した場合の航続は、最大で460km。この航続は、アクションの240kmのおよそ2倍となる。

パッションには、充電を最適化するために85kWの急速充電システムが搭載されており、短時間で充電できる。例えば、日常の足としては充分な50kmを走行するために必要な電力は、5分で充電することが可能だ。急速充電器を使えば、35分でバッテリー容量の80%まで充電できる。

◆バッテリーの8割の容量を30分で充電できるDS3クロスバックE-TENSE

DS3クロスバックE-TENSEには、最大出力136hp、最大トルク26.5kgmを発生するモーターを搭載する。0~50km/h加速3.3秒、0~100km/h加速8.7秒の性能を発揮する。

バッテリーは蓄電容量50kWhのリチウムイオンだ。1回の充電での航続は、欧州仕様車の場合、WLTPサイクルで320km、NEDCサイクルで430kmとした。

充電は、三相型11kW充電ウォールボックスで、フル充電まで5時間だ。出力100kWの急速充電を利用すれば、バッテリーの8割の容量を30分で充電できる。ドライブモードは3種類だ。航続を最大化する「エコ」、トルクが即座に増加する「ノーマル」および「スポーツ」が用意される。フォーミュラEのノウハウを応用した2種類のエネルギー回生システムも採用する。「ブレーキ」モードでは、回生ブレーキが強めに作動する、としている。

《森脇稔》

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