【日産 ノートオーラ NISMO 新型試乗】「感覚的に速い」ハイパフォーマンスカーの王道をいく走り…島崎七生人

日産 ノートオーラ NISMO
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NISMOのモータースポーツの歴史はざっと30年以上。モータースポーツを“クルマを楽しむ文化”と捉え、その技術を量産車に反映させることを目的として、NISMOのロードカーは作られている。“速く、気持ちよく、安心して走れるクルマ”はNISMO車共通の狙いだ。

ちなみに『ノートNISMO』自体は、2014年ガソリン車時代に投入され、最大で『ノート』の8%を占める人気車となった。さらに2016年の『ノートe-POWER NISMO』で弾みがつき、最大で14%を達成するに至ったという。そこで今回登場の『ノートオーラNISMO』では、e-POWERとNISMOの相性のよさをベースに、強みである“走りとエクステリアデザイン”により磨きをかけての登場となった。言葉で表現すると“俊足電動シティレーサー”がコンセプトだ。

GT-Rのノウハウも、キーワードは“無敵の街の弾丸”

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エクステリアデザインは、レース由来の空力技術と新世代のNISMOデザインがポイント。キーワードは“無敵の街の弾丸(Intrepid Urban Bullets)”と何とも勇ましいが、単にコスメティックなスタイリングではなく、性能を達成するための機能的なかっこよさを追求したものという。基準車『ノートオーラ』の進歩的で先進性、先見性のあるスタイルを、サイエンティフィックな手法でよりアクティブでダイナミックに仕上げた。

見逃せないのは次世代NISMOのデザイン戦略を最初に取り入れた商品ということで、スマートでクリーンな新しいスポーティテイストの表現が味わいどころだ。

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具体的にはグリル、前後バンパー、サイドシル、リヤスポイラーを始め、アルミホイール、前後フォグランプ、さらにエンブレム、オプションのフッドステッカーが専用デザインとなる。

全高は20mmローダウン、オーバーハングは前+30mm、後ろ+50mm延長するなどして、Cd値は基準車と同じ0.31、Clは基準車の0.11に対しー0.03を達成、高速での直進安定性、操縦安定性の向上に寄与している。フロント下部やサイド部の空気の流れを分離させるためのスプリッターや渦を発生させるウイング形状などは空力に寄与したディテールで、『GT-R NISMO』のノウハウが活かされている。

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フォーミュラe着想のリヤフォグに、レッドシートベルト

ほかにアウターレンズ部にNISMOのロゴがエンボスで入ったフロントフォグランプは、LED5灯の超薄型デザインとし、プランビューで70度の超広角配光で光量はベース車+15%、リヤフォグランプはフォーミュラeから着想を得たデザインで、LED7灯は点灯時のみ赤色のドットパターンが浮かび上がる。これらはNISMO車では頭出しとなる戦略アイテムだそう。

電動NISMOのビジュアルアイコンのフッドステッカー(オプション)は、グロス&マットの2トーン表現でレーシーさと電動NISMOの先進感を表現したものという。

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一方でインテリアでは、PVCをラッピングしたインパネ、レッド&グレーのコンビのステッチを用い上質な仕立てとしたほか、メーターはNISMO車の作法といえる赤いタコメーターを専用の12.3インチフルTFT液晶メーター内のパワーメーターの盤面で再現。走行モード表示ではベース車のSモードが“NISMO”モードとして表示される。

アルカンターラ巻きのステアリングホイール(レッドセンターマーク付き)、専用の赤いスターター&モードスイッチを始め、シートは専用表皮のスタンダードシートのほか、レカロシートをオプションで設定している。レッドのシートベルトは、次世代NISMOの新アイコンとして、今後、順次採用の予定だという。

日産 ノートオーラ NISMO レカロシート装着車日産 ノートオーラ NISMO レカロシート装着車

ハイパフォーマンスカーの王道をいくストイックな走り

そして走行性能だが、分かりやすいのは“ラップタイム”を評価軸のひとつにし、加速タイムの速さ、限界の高さを突き詰めた開発を行なったということ。そのためもあり、実車に乗って実感するのは、ドライバーのあらゆる操作に対してクルマが齟齬なく忠実に期待どおりの反応を示してくれるという点だ。

もちろんレーシングカーではないから、乗り味、ノイズ、振動などは上質なロードカーとして通用するもの。とはいえ、コーナリングやスラロームでは得も言えぬスタビリティの高さ、ソリッド感を強く実感するし、リヤに採用されるモノチューブ式ダンパーは、どこまでもクルマの破綻を抑え込みながら、挙動変化のプロセスも精緻に制御してくれる。

島崎七生人的には(!)通常であればオーディオの音質のチェックでもしながら試乗するところだが、このクルマに関しては、そんな余地はまったく許されない、スペシャルハイパフォーマンスカーの王道をいくストイックな走りっぷりに目が覚まされる思いがした。

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『ノート』『ノートオーラ』はそもそもブレーキング時のノーズダイブが少ない、走行中の車両の姿勢変化の小ささが特徴だが、『ノートオーラNISMO』はその特性が一層、いい意味で助長されている。

動力性能は“感覚的に速く走れるクルマを開発している”という。従来の『ノートe-POWER NISMO』に対しパワーは25%アップの100kWに、トルクは18%アップの300Nmにそれぞれスペックが向上。しかも加速時の“伸び感”が感じられるよう、モーターとエンジンのコンビネーションを考えたマッピングにしたといい、テストコースの直線部分で100km/hを大きく超える速度まで加速を試しても、確かに、胸のすく加速がいつまでも味わえるのを実感。また速度が上がってもクルマの直進安定性がいささかも乱されないことも実感した。

ドライブモードは、最強ということでは“NISMO”だが、“NOMAL”“ECO”でも加速は十分すぎるほどで、“ECO”ではよりしっかりとした回生ブレーキ(減速G)が使える。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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