ジェイテクトは、同社の「トルセンLSD」および「4WD車用電子制御カップリング(ITCC)」が、トヨタ自動車の新型車『GRヤリス』に搭載されたと発表した。
トルセンとは、自動車の旋回時に左右輪もしくは前後輪のトルクを最適配分する駆動装置「LSD(リミテッドスリップデフ)」の一種。ヘリカルギヤを用いて差動制限を行うLSDとして、高いトルク配分性能と高耐久性を発揮する。現在では主に四輪駆動車に搭載され、前後輪のトルク配分を行う「トルセン タイプ-C」とスポーツタイプの後輪駆動車をはじめ前輪駆動車にも搭載され主に左右輪のトルク配分を行う「トルセン タイプ-B」を日本、ベルギー、米国で生産している。
GRヤリスでは、高性能グレード「RZハイパフォーマンス」の前後にトルセンタイプ-Bが採用され、GRヤリスの使用環境下に適用するため、高強度・高容量化を図り、より高いレベルのスポーツドライビングに応えている。
ITCCは、電子制御により駆動力を連続的に可変して伝達するカップリング。通常は四輪駆動車のリヤディファレンシャルとプロペラシャフトの間に搭載され、前後輪の駆動力を連続的に可変することで、高い燃費効率と優れたトラクション性能を両立する。そのコアとなる技術は、シリコンを含有したダイヤモンドライクカーボン(DLC-Si)。ダイヤモンドに近い特性を持ち、摩耗に強い非結晶の炭素を数ミクロンの膜として被覆した電磁クラッチと専用開発のフルードであり、小型で優れた耐久性と静粛性を併せ持つ。
「電子制御多板クラッチ」とも呼ばれている同製品は、GRヤリスのベースグレード「RZ」および競技ベースグレード「RC」に採用されているスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」の構成部品として搭載。GRヤリスの使用環境下に適応するため、高温対応、高容量化を図り、ドライブスタイル、路面状況に応じた前後トルク配分のコントロールに貢献している。