タリオーニは、革新的なプロジェクト、アイデア、特許をモーターサイクルの世界へと導入した。ドゥカティに入社してから40日後に、タリオーニは最初の名車、『Gran Sport 100』を製作した。「マリアンナ」という名称で知られるこのモーターサイクルは、発売後すぐにイタリアの長距離ロードレース「Italian Gran Fondo」で圧倒的な強さを示した。
Gran Sport 100の成功を受けて、タリオーニはレーシングバイクの製作に専念し、デスモドロミック・バルブ駆動システムによる野心的なプロジェクトに取り組んだ。それまで、「デスモ」のメカニズム自体は知られていたものの、世界のエンジニアがその実用化に失敗していた。しかし、タリオーニは、決してあきらめることなく、この技術を粘り強く研究し、完成させた。デスモドロミック・システムを搭載した最初のモーターサイクル、『125 GP Desmo』は、デビューから1か月後に最初のグランプリレースで優勝し、排気量125ccとしては世界最速のタイムを記録した。
◆ドゥカティ初の90度L型2気筒エンジンを開発
その後の数年間、タリオーニはドゥカティの事業再生に積極的に乗り出し、『175 Gran Turismo』やドゥカティ 『スクランブラー』などのプロジェクトに携わった。これにより、彼が生み出すモーターサイクルは、スピードだけでなく、信頼性や耐久性にも優れていることを証明した。