新型コロナで都市・まちづくりのDXが加速する…国土交通省 都市局 都市計画課 都市計画調査室長 筒井祐治氏[インタビュー]

新型コロナで都市・まちづくりのDXが加速する…国土交通省 都市局 都市計画課 都市計画調査室長 筒井祐治氏[インタビュー]
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国土交通省は2019年5月にスマートシティの先行モデルプロジェクトとして15事業を選定し、具体的な実行計画の策定に向けて、資金、ノウハウの両面から支援を行ってきていた。その15事業の実行計画が2020年4月24日に公表された。

5月29日開催オンラインセミナー「スマートシティ2020」(参加費無料)に登壇する国交省都市局都市計画課都市計画調査室長の筒井祐治氏に国交省が取組むスマートシティと新型コロナウィルス関して聞いた。

---:「スマートシティ」の定義は多様です。国交省のスマートシティの定義、またMaaSとの関係を教えてください。

筒井氏:国交省では、スマートシティはICT、IoTなどの新技術を活用して、官民のデータをまちづくりに取り入れて、ビジョンやまちの課題を達成する取組みだと捉えています。

MaaSは各種の交通手段による移動を一つのサービスとして提供する取り組みで、スマートシティを構成する重要な要素の一つだと考えています。

スマートシティは国交省が単独で行っている政策ではありません。内閣府が取りまとめ役になり、データ関連を総務省、現場を経産省と国交省が担当しています。

---:スマートシティという言葉は約10年前からあります。その頃と今は何が異なってきていますか?

筒井氏:10年前のスマートシティは、エネルギーの効率化と最適化が中心だったかと思います。

その後、情報通信技術も急速に進化し、また、AIの活用が進みビックデータの解析力が劇的に進みました。センサーやIoT技術でいろいろな分野のデータがとれるようになってきています。さらにはエネルギーや交通など、分野ごとに考えるよりも包括的に分野横断的に考える方が良いことにみんなが気づきはじめました。たとえば、健康は交通と切っても切り離せませんし、エネルギーと見守りといった組み合わせも有効です。さらには、共通のデータ基盤を構築することにより、多様なことが実現可能となってきています。

---:「先行モデルプロジェクト15事業の実行計画が公表されました。その中でいくつかご紹介いただけませんでしょうか?

札幌市、健康寿命の延伸と移動データの活用

筒井氏:札幌市「ICTにより健康・快適を実現する市民参加型スマートシティ実行計画」は問題意識が明確です。札幌市は、健康寿命が相対的に低いことを課題視しています。そのため、市民が自然と歩きたくなる環境を築き、健康寿命が延伸しているようなウォーカブルなまちづくりを目指しています。GPS、WiFiなどから移動情報を取得して、インセンティブとして市民に健康ポイントを付与したり、そのデータを活用して道路や交通計画に活かそうとしています。組織体制は、行政は札幌市。民間企業は日建設計総合研究所、つくばウェルネスパーク、イオン北海道、戸田建設、トーマツ、タニタヘルスリンク、フェリカポケットマーケティング。有識者は筑波大学の久野譜也教授です。

世界に先駆けた「デジタル大丸有」

東京の大手町・丸の内・有楽町地区スマートシティ実行計画は、“リアル大丸有”と“デジタル大丸有”のデータを活用して、既存の都市のアップデートとリ・デザインを公民協調のPPP、エリアマネジメントによって実現するものです。

リアル大丸有は、現実の大丸有のリアルタイムの状況です。デジタル大丸有は、3Dデジタルマップを用いて、サイバー空間上に建物を再現した大丸有です。公園をつくると人の流れはどうなるのか。災害が発生するとどこまで水が来るのか。またリアル大丸有から交通や気象データなどを採取していろいろなシミュレーションができます。3Dデジタルマップの整備により、宅配や清掃ロボットなどの活用も可能となります。

都市データを統合する大丸有版都市OS、さまざまなデータを利用促進するデータライブラリーの整備、センサーなどの設置などデジタル基盤の整備を2023~2025年頃までに行い、順次実装したり、内容を拡大していく予定です。

実現すれば世界でも先進的なスマートシティの事例となるのではと期待しています。グリーンフィールドでの抜本的な取り組みは海外でも見られますが、大丸有のように既存の都市を舞台に地区を大きく変えていく取り組みはそれほどないかと思います。

---:新型コロナウィルスに関連するお話をいただけますでしょうか?

筒井氏:まちづくりそのものがデジタルトランスフォーメーション(DX)していく必要があると考えています。

今は、紙で検討をしていて、シミュレーションも見える化できていません。問題が起きた時に、慌てて紙を探し出してきて、原因を特定するなど、皆が対応に追われてしまう状況です。

安定的に都市経営を行うためには、3Dデジタルマップを用いて建物や道路などをデジタル化したり、人流や物流など都市のあらゆるデータをデジタル化し、データ基盤に集めておいて、常時まちをモニタリングしながら、課題を抽出したり、シミュレーションしたりする必要があるでしょう。

デジタル化できれば、まちづくり関係者が情報や政策を独占するのではなく、市民参画できるようにすることもできるようになると思います。情報の共有のあり方も、サイバー上で共有が可能となり、多様な人の知恵や思いを詰め込むことも可能となるでしょう。このようなCity as a Serviceの取組みが今後広まっていくのではないかと期待しています。

オンラインセミナー「スマートシティ2020」5月29日開催(参加費無料)はこちら。

《楠田悦子》

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