モービルアイ、新規事業のロボタクシーやMaaSで自動運転の総合企業へ

モービルアイ・ジャパンは12月3日、インテルに買収された後、日本で初となる事業説明会を開催した
  • モービルアイ・ジャパンは12月3日、インテルに買収された後、日本で初となる事業説明会を開催した
  • 説明に立ったモービルアイ・ジャパン 代表取締役社長の川原昌太郎氏
  • これまでに「EyeQ」チップをは累計で5000万個を出荷。2014年からの成長率も44%を達成したという
  • 現在26社で45の案件が進められており、2019年には22件のデザインウイン、16車種が量産開始される
  • ユーロNCAPでは、2018年に5つ星を取得した75%がモービルアイ搭載車だった
  • ADASや自動運転のバリューチェーン全体をカバーするモービルアイのソリューション・ポートフォリオ
  • 画像認識を活用したREMの勝代うめー時
  • REMによるカメラでの取得状況

先進運転支援システム(ADAS)の中核技術を提供するモービルアイ(本社:イスラエル)の日本法人「モービルアイジャパン」は12月3日、東京都内で事業説明会を開催した。同社のADASを取り巻く概況と、ロボットタクシーやMaaS事業に向けた日本市場でのビジョンを紹介した。

買収後、インテル傘下でもっとも成長力ある分野に

モービルアイは2017年10月、自動運転などで急成長する車載市場を狙うインテルによって買収され、以来、インテル・モービルアイ連合として連携を深めてきた。そのモービルアイが売り上げる金額は、ADASに対する継続的な気運の高まりもあって対前年比20%増を達成。インテルが進めるビジネスの中で最も成長著しい分野になっているという。

その売上の中心が画像処理チップ「EyeQ」で、日本法人の代表取締役 川原昌太郎氏は「これらの売上で得た資金を元に自動運転技術の開発などを進めて来た。これが我々のビジネスの源泉となっている」と説明する。

実際、その年間売上額は現時点で900万ドル(約1000億円弱)を超え、2016年から比較すると約2倍の売上に相当。また、その成長率は極めて高く、2014年以降、年率で平均44%と急成長を遂げた。それに伴って人的資本も買収前と比べて約2倍にまで増えたという。川原氏は今後の見通しとして、「2030年までにADASの技術を使ったデータ戦略やMaaSへの参入によって、その売上は230億ドル(2兆5000億円)にまで拡大する」と説明した。

さらにモービルアイは、本社のあるエルサレムにグローバル開発センターの建設に着手。2022年には完成予定の数千人が収容できる自社ビルが完成する。起工式にはイスラエルのネタにエフ首相が出席するなどイスラエル政府との結びつきも強く、政府の期待も大きいという。同社はこれらのバックアップの下、今後の成長へつなげて行く考えだ。

カメラだけにとどまらずフュージョンセンサーにも積極的に対応

EyeQについては、現在26社によって45の案件が進められている最中で、2019年には22件のデザインウイン、16車種が量産開始となったという。この中には日産の新型『スカイライン』に搭載された「プロパイロット2.0」が含まれていることを明らかにした。

また、モービルアイが開発の中心に据える考え方に「Human Vision」がある。これは目を使って運転をしている人間と同じロジックでセンシングするという考え方に基づくもので、設立以来、同社がセンシングにカメラを使用してきた理由もここにある。そして、そのロジックを具現化するのに重要な役割を果たしているのが前述した「EyeQ」チップだ。

川原氏によれば「会社の設立前後は汎用チップで対応していたが、高度化する処理能力に対応すべく現在はオリジナルチップへと変更。これにより、たとえば現在の第4世代から2020年後半にも出荷予定の第6世代を比較すると7~8倍もの処理能力向上が図れるようになった」と説明する。

とはいえ、近年は同社が手掛けてきた光学カメラからの映像処理だけにとどまらず、LiDARやミリ波レーダーを組み合わせて使うセンサーフュージョンへの対応も手掛け始めている。カメラだけのセンシングにとどまらず、時代の流れに合わせた対応も積極的に進めていくということと思われる。

高精度マップ「REM」や「ロボタクシー」を新たな収益源に

さらに自動運転を実現する上で重要なのが、同社がグローバルで開発している高精度マップ「REM(Road Experience Management)」だ。これは、モービルアイのソフトウェアを使うカメラによって取得した標識や白線、信号、前方車両の移動軌跡など様々な情報をデータセンターに送るハーベスティングによってもたらされる。これによって、自動的にHDマップの信頼性を高めることができるのだ。

ポイントはエッジ側で処理を行うことで、必要なデータだけが送信されること。これによりデータセンターに送られるデータ量は10KB/kmでしかなく、そのため通信インフラが3Gで対応する地域でも利用することが可能だ。対応したクルマからは日々200万kmの道路データが送られてきており、これまでに3億kmの道路をカバー。英国ではすでに下水や電柱、信号、街灯、変電設備などといったインフラ情報を整備するのに活用中で、シンガポール、香港、ドバイなどでも同様の取り組みを進めることを計画しているという。

その実績を踏まえ、モービルアイではそれをデータとして販売する取り組みも進めているという。川原氏は「何台ものクルマが同じ場所を通過することで、データの精度は向上していく。特別にデータ収集をするクルマを走らなくても、低コストでインテリジェントなソリューションを構築できる」と説明。ハーベスティングによって得られるデータをビジネスとして進めていくことを明らかにした。

そして、もう一つモービルアイが次の戦略で進めるのがロボットタクシーの事業化だ。そのために各国でパートナーとの連携を強化しており、例えば中国では2019年11月より新興の電気自動車(EV)メーカーのNIOと、モービルアイの自動運転レベル4でのシステムを搭載することで協業を開始。モービルアイが専用で利用できるロボットタクシー車両の開発も行う契約になっているという。

また、22年には中国、フランス、イスラエルでパートナーと連携してEVによるMaaS事業に対してロボットタクシー事業を開始し、翌23年には米国でも同様の事業を始める計画だ。イスラエルではレベル4自動運転の実現に向け、VWがEV車両を、モービルアイがシステムを提供することになっている。一方で日本でのサービス開始時期は未定としながらも「大手自動車メーカーと組んで数年内に事業化を実現したい」(川原氏)とした。

《会田肇》

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