三菱電機の自動車機器事業を担う三菱電機モビリティをめぐり、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)による出資報道が浮上した。これに対し三菱電機は「当社が発表したものではない」とした上で、「持分の一部譲渡の可能性を検証している」と説明している。
本稿では、分社化から現在までの流れと、その背景、今後の展開を整理してみる。
●分社化は2023年に決定、収益改善と構造改革が目的
三菱電機は2023年10月、自動車機器事業の分社化を決定した。2024年4月に吸収分割により新会社へ承継し、「三菱電機モビリティ」として事業を開始している。分社化の目的として同社は、「収益性と資産効率の向上」と「事業ポートフォリオ戦略の推進」を掲げた。
特に自動車機器事業については分社化発表時の資料に「収益改善が課題」と明記されており、経営上の構造改革が必要な領域と位置付けられていた。また、自動車業界ではCASE(コネクテッド・自動化・利活用・電動化)による産業構造の変化が急速に進んでいる。これに対応するため、意思決定の迅速化や機動的な事業運営を狙い、分社化された。
●分社化後も「持分譲渡」を含む選択肢を検討
三菱電機は分社化後も、自動車機器事業について「あらゆる選択肢を念頭に置いた事業ポートフォリオ戦略」を継続しているとする。
その一環として、三菱電機モビリティの持分の一部譲渡についても検証していると明らかにしている。これは、企業価値の最大化、中長期的な事業価値向上、迅速な取引実行といった観点から検討されているものだ。分社化は単なる組織再編ではなく、外部資本の受け入れや提携をも見据えた構造改革の一環とみられる。
いっぽう三菱電機(本体)は2025年11月、鴻海精密工業とAIデータセンター分野での協業に関する覚書を締結している。両社はこの協業において、ノウハウやネットワークを活用したグローバル展開を目指しており、将来的には他分野への展開も視野に入れている。
こうした既存の協業関係が、自動車機器分野での資本提携観測につながったのだろう。



